タイ下院選で勝利の革新政党、カリスマ党首が辞任

【タイ】議会下院(定数500)第1党で野党のガウクライ党(ムーブフォワード党)のピター・リムジャルーンラット党首(43)が15日、党首を辞任すると発表した。

 現行憲法では、下院の野党陣営を率いる野党指導者は最大野党の党首で下院議員と規定されている。ピター氏は現在、タイ憲法裁判所により下院議員資格を停止されていることから、ガウクライ党所属の別の下院議員が党首、そして野党指導者に就く必要があると判断した。

 5月14日に行われた下院総選挙では、旧野党陣営で革新系のガウクライ党が151議席(比例代表の得票率36.2%)を獲得して第1党に、同じく旧野党陣営でタクシン元首相派のプアタイ党が141議席(同27.7%)で第2党になった。両党は小政党6党を加えて下院で過半数の312議席を確保し、7月13日に行われた上下両院合同会議での首相指名選挙でピター氏を擁立した。しかし、国王批判に重罰を科す不敬罪の改正廃止を掲げるガウクライ党に対し、下院の旧与党陣営とプラユット軍事政権(2014~2019年)が議員を選任した非民選で王党派の議会上院(定数250)が強く反発し、ピター氏の得票は324票と、首相選出に必要な376票にとどかなかった。

 国会で膠着状態が続く中、タイ憲法裁は7月19日、国会議員がメディア会社の株式を所有することを禁じる憲法規定にピター氏が違反したとするタイ選挙委員会の訴えを受理し、判決を出すまでの間、ピター氏の下院議員資格を停止した。ピター氏はすでに事業を停止した有料テレビ会社ITVの株式4万2000株を父親から相続していた。下院選後、指摘を受け、全株を親族に譲渡した。違反と認定された場合、ピター氏は下院議員を失職する。

 こうした状況を受け、プアタイ党はガウクライ党との同盟を解き、旧与党陣営の中核3党を含む10党と連立を組み、下院で314議席を確保。不敬罪に手を付けないと約束して上院の支持も取り付けた。8月22日に行われた2回目の首相指名選挙では、プアタイ党所属の元実業家、セーター・タウィーシン氏(61)が賛成482票、反対165票、棄権81票で第30代のタイ首相に選出された。

 ピター氏は奨学金を得て米ハーバード大学の経営学と公共政策の修士号を取得した。実家の食品関連の企業を経営するなど実業家の経験もある。女優と結婚して女児を設けるが、その後、離婚した。清新なイメージと甘いマスク、鋭い舌鋒で、特に若年層に絶大な人気を誇る。

 

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