タイ大手銀行、2026年は低成長で「消耗の局面」 資産健全性と気候リスクを重視

【タイ】タイの複数メディアが、タイ主要銀行3行の頭取が示した2026年の経済環境に関する見通しを紹介している。実質国内総生産(GDP)成長率が2%を下回ると予測される中、各銀行は事業拡大を抑制し、資産の健全性確保やリスク管理を重視する姿勢を強めているという。

 タイの大手商業銀行3行の経営トップは、2026年を「全体的に消耗する年」と位置付け、景気の停滞が金融業界全体に影響を及ぼすとの認識を共有している。成長率が2%未満にとどまる見通しを背景に、積極的な拡大路線から転換し、与信管理の厳格化や気候変動リスクへの対応を優先する戦略を打ち出している。

 バンコク銀行(BBL)のチャーシリ・ソーポンパニット頭取は、2026年の経済環境は依然として制約が強く、成長率が2%前後にとどまる場合、従来型の経済活動は停滞が続くとの見方を示した。変化する環境への適応を支援する役割が重要になるとし、大企業向けや個人向けの融資姿勢は維持する一方で、債権の質の確保、リスク低減、慎重なコスト管理を重視すると述べた。タイ中央銀行(BOT)による最近の利下げについては、債務を抱える事業者の負担軽減につながる可能性があると指摘した。

 サイアム商業銀行(SCB)のクリット・チャンタノートック最高経営責任者(CEO)は、2026年は「多方面からの課題に直面する年」になると述べている。国際的な貿易摩擦や周辺地域の地政学的な不安定さに加え、国内の構造的な非効率性が経済の重荷になると分析。国内では過去最高水準に達した家計債務が景気回復を抑制しているとし、成長の確保と資産健全性の維持を同時に求められる状況は避けられないとの認識を示した。同行は、不良債権比率の上昇を防ぐため、組織の効率化を進めるとともに、財務規律の高い企業を中心に選別的な成長を図る方針だ。

 クルンタイ銀行のパヨン・シーワニット頭取は、2026年の成長率が1.5~1.8%にとどまる可能性があるとし、より慎重な見通しを示した。銀行業は実体経済の動向と切り離して考えることはできないとし、流動性や公的債務の問題に加え、自然災害が金融リスクの「新たな常態」になりつつあると指摘した。気候変動に伴う洪水などが、年次のリスク評価の前提を変えつつあるとし、保険制度や税財源による社会保障を含め、環境リスクから弱者を守る体制が十分かどうか、国全体で検討する必要があるとの考えを示した。

 これらの報道は、タイの銀行業界では取扱量の拡大だけを成長の指標とする考え方が後退しつつあると伝えている。主要3行はいずれも、防御的な経営姿勢を強め、既存顧客基盤の維持や中小企業支援、気候変動がもたらす中長期的な影響への備えを重視する方向で一致している。

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