【タイ・アセアン】タイ投資委員会(BOI)のナリット・タートサティーラサック事務局長は、9月19日にフィリピン・マニラで開かれた「ASEAN投資地域(AIA)評議会」に政府代表として出席し、アセアン各国が地域サプライチェーンの構築と投資環境の高度化を通じ、高度技術分野を中心とする大型投資の受け入れを進める方針を確認したと明らかにした。「地域協力によって各国の強みを結び付け、包括的なサプライチェーンを構築することで、アセアン全体の競争力を高めることができる」と評価した。
評議会では、地政学的な不確実性や世界的なサプライチェーン再編、グリーン化・デジタル化の進展を背景に、世界の投資動向が先端技術、研究開発(R&D)、イノベーション分野へ移行しているとの認識を共有した。タイはアセアンがこうした投資を取り込むため、人材育成や研究開発の強化に加え、新産業を支える域内サプライチェーンの整備を進める必要性を訴えた。
BOIによると、2025年のアセアンへの対内直接投資(FDI)は前年比10%増の2460億米ドルで、世界全体のFDIの15%超を占めた。アセアンは発展途上国・地域で最大の投資受け入れ先となり、FDI受入額で初めて東アジアを上回った。
同年のタイへのFDI流入額も前年比30%増の191億米ドルで過去最高を記録。サービス、金融、製造分野が投資をけん引したほか、デジタル経済やデジタルインフラの拡大を背景に、情報通信分野への投資が前年の2倍に増加した。
国連貿易開発会議(UNCTAD)は、世界およびアセアンのFDIが技術開発、イノベーション、研究開発、人材育成、技術サービスなど無形資産への投資へ移行していると指摘。無形資産関連投資の割合は2005~2010年の44%から2020~2025年には64%へ上昇した。
ナリット事務局長は、「タイとアセアンは先端科学技術、デジタル技術、工学分野の人材育成を急ぐ必要がある」と指摘。タイ政府およびBOIは、産業界の需要に応じた人材育成を支援する「Skill Bridge」や、企業の技術導入を後押しする「Business Transformation」などの施策を進めていると紹介した。
評議会では、投資誘致競争において税制優遇だけでなく、迅速な許認可手続き、明確な規制、インフラ整備、人材確保、投資家向け支援体制の充実が重要との認識でも一致した。BOIは、許認可手続きの期間を20~50%短縮することを目指す「Thailand FastPass」の進捗を説明し、大型案件や戦略的投資案件の迅速な実施を支援していると報告した。
タイはさらに、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)と連携し、2025~2030年のアセアン地域投資促進行動計画(RIPAP)を推進。同計画では、アセアン各国の強みを生かしながら、原材料調達から製造、販売に至るサプライチェーン全体の投資を域内へ呼び込むことを目指している。
写真:タイ首相府




























