タイ首相、ESCAP年次総会で「誰一人取り残さない」社会づくりを強調

【タイ】アヌティン・チャーンウィーラクーン首相は4月20日午前、バンコク都内の国連会議センターで開幕した国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)第82回年次総会で特別講演を行った。人口構造の変化が進むアジア太平洋地域において「すべての世代が能力を発揮できる社会」を実現する必要性を強調した。

 地政学的緊張の高まり、深刻化する気候変動、金融環境の不安定化など、世界的な不確実性が増す中で、あらゆる世代の生活が影響を受けていると指摘。こうした状況は持続可能な開発目標(SDGs)の達成を一層困難にしており、「包摂的で誰一人取り残さない開発」が不可欠だと述べた。今年の総会テーマである「すべての世代のための社会づくり」は、政策目標にとどまらず、戦略的課題そのものだと位置づけた。

 アジア太平洋地域が急速に高齢化する一方、数千万人規模の若者が労働市場に参入する現状を踏まえ、首相は「すべての年代が尊重され、成長の機会を得られる社会」を構築すべきだと主張。生涯学習の推進、健康で活発な高齢期の実現、経済・技術変化の恩恵をすべての人が享受できる環境整備、基礎的サービスや社会保障への公平なアクセスを挙げ、包括的な社会づくりの重要性を訴えた。

 タイの取り組みについては、「人間中心の開発」を基本理念とし、生涯学習への投資、質の高い高齢期の実現、変化する経済に対応した働きがいのある仕事の創出、国民皆保険制度を基盤とした社会保障の強化を進めていると説明した。

 また、SDGsの多くの目標が進捗不足にあるとし、取り組みの加速が必要だと強調。特に重要な要素として、1)長期目標に沿った政策調整と国際的な約束の着実な履行、2)民間投資を含む資金調達の拡充と新たな金融手法の活用、3)政府・企業・国民社会の連携強化と、ESCAPを通じた優良事例の共有と拡大、の3点を挙げた。

 アヌティン首相は最後に、ESCAP本部がバンコクに置かれ、タイが1949年からホスト国を務めていることに誇りを示し、複雑で変化の激しい国際環境の中で、ESCAPが地域協力と実践的な取り組みを結びつける重要な役割を果たしていると評価。今後も地域協力と各国の実施をより強固に結びつけ、共通目標を具体的成果へとつなげるため、タイとして積極的に支援していく姿勢を示した。

 ESCAP年次総会はアジア太平洋地域における国連の主要会議で、今年は4月20〜24日に開催。アゼルバイジャンの外相が議長を務め、人口動態の現状と将来展望、働きがいのある仕事の促進、全世代の雇用機会、生活の質の向上など、経済・社会の重要課題について加盟国が議論する。

アヌティン首相 写真:タイ首相府

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