タイ政府観光庁の2026年目標「外国人入国者3670万人・観光収益2兆7800億バーツ」

【タイ】タイ政府観光庁(TAT)は2026年の観光戦略として、外国人入国者3670万人、国内旅行延べ2億500万人、観光収益2兆7800億バーツ(14兆円相当)の達成を目指すことを明らかにした。量より質を重視した高付加価値型観光への転換を進め、自然災害、詐欺被害、国境紛争などで揺らいだ旅行者の信頼回復を図る。

 タイは2025年を観光年「Amazing Thailand Grand Tourism and Sports Year 2025」に指定。外国人入国者数3800万人(ペートーンターン・チナワット首相・当時)~4000万人(タイ観光スポーツ省)、国内旅行を含めた観光収益3兆4000億バーツを目標としていたが、大幅な未達に終わるとみられる。

 ターパニー・キアットパイブーンTAT総裁は、2026年は「数より価値」を重視する方向に舵を切ると説明。海外需要が複数の逆風で弱含んだことを受け、より積極的なマーケティングが必要になったと述べた。

 外国人入国者数の内訳は、アジアや南太平洋などの近距離市場が7割超の2570万人、欧米、中東、南アフリカなどの遠距離市場が1100万人と見込む。国内では旅行頻度の引き上げにより、延べ2億500万人の旅行需要を創出し、国内外を合わせた観光収益を2兆7800億バーツに押し上げる。

 中国市場については、2026年に少なくとも670万人達成を目指す。2025年見込みの450万人から4割以上の引き上げで、2024年水準への回復を想定。中国人俳優がタイを経由してミャンマーで捕らわれた事件、バンコクで建設中のビルが倒壊した地震、カンボジア国境での軍事衝突などで信頼が大きく揺らいだが、国王夫妻の中国訪問後、対タイ評価は改善したと分析している。来年は市場回復策として、「中泰一家親(中国とタイは一家)」キャンペーンを展開する。タイは今年、中国人を引き留めるためのキャンペーンをいくども繰り返してきたが、反応はいずれも薄かった。

 2026年2月8日に総選挙を控える中でも、観光は政権の枠を超えた経済の原動力であり続ける必要があると、ターパニー総裁は強調。次期内閣に対しても、業界の要望を踏まえた施策を提案していく考えを示した。

写真:Thapanee Kiatphaiboolフェイスブックより

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