【タイ】タイの複数メディアの報道によると、妨害運転で事故を起こして相手にけがを負わせた政治家の息子が4月20日、見舞いで病院を訪れたものの「準備ができていない」と断られた。治療費として20万バーツ(90万円相当)を手渡すつもりだったという。
事故を起こしたのは、バンコク北隣パトゥムターニー県タンヤブリー町(テーサバーン・タンボン)の町議会選に立候補しているスミッティパット・リンナワラット氏。父親にタンヤブリー町のクリッサダー町長、兄に与党プアタイ党のマナッサナン下院議員を持つ。
18日朝、バンコク外環状線(アウターリング、国道9号線)のタンヤブリー料金所(パトゥムターニー県タンヤブリー郡内)を過ぎた地点で夫婦のピックアップトラックと接触。相手が停止しなかったことから逆上し、妨害運転を仕掛けて故意にぶつかっていった。
ピックアップトラックを運転していた男性は、シートベルトや安全バッグに圧迫されて肋骨を折り、集中治療室に担ぎ込まれた。同乗していた妻は軽傷だったが夫と共に入院して治療費がかさんでおり、入院3日目で夫婦ともども13万バーツを超え、家計的に支払いが困難な状況に陥っているという。
スミッティパット氏は見舞いを拒否されたものの、治療費を全額支払う意思があると書いた手紙を夫婦に送ったという。同氏は事故直後からメディアやSNSで集中的な批判を受け、取材で取り囲んだ記者に食って掛かるなど油に火を注ぐような言動に出たが、20日には一転して夫婦に対する誠実な態度を見せた。