海外専用業務ソフトウエア開発販売　SimLex Development Co., Ltd.
古賀 敏生 氏

個人レベルなら評価される開発知識

　お客様が自社開発したソフトを弊社のパッケージソフトに置き換える、というご依頼がよくある。ここではタイ進出日系企業の実例を紹介させていただくが、日本国内でも同様の話は少なくない。

　自社開発に至る理由はたいてい、職場に「管理システムの知識が深い」「コンピュータに強い」といった社員の存在だ。大企業であれば相当な予算を投じて開発専門業者に任せるだろうが、中小企業の中には「初期投資を抑えたい」として、先のような優秀な社員にやらせてみよう、という選択肢が生まれてくる。個人レベルなら確かに知識の深さは評価されるだろうが、組織として求められる存在か否かは別の話だ。

　「開発を手掛けたのは畑違いの社員だが、何とも使いやすいソフトが出来上がった」と思わせる例も少なくない。しかしそれは、自分たちの管理業務を自分たちが一番良く知っているからで、使い勝手が良いのは当然だ。

当たり前の問題が続出する自社開発

　完成直後は快適に使用できても、そのうちほころびが目立ってくる。まずは、開発を手がけた社員が「転勤や退職」でいなくなり、企業として維持管理できなくなるパターンだ。「知り合いに安くホームページを作ってもらったら、その人と連絡が取れなくなって管理ができなくなった」という失敗談と何ら変わりない。特に、「現地スタッフが器用だったから」やらせてみたというパターンは、取り返しがつかないことがある。かといって、「日本からの駐在員がたまたまできた」からやってもらったというパターンも、失敗の度合いに大差はない。

　その開発者がどれだけプロフェッショナルかにもよるが、生産管理に偏っていたり、工程管理に偏っていたりなど、たいていは管理全体に考えが及んでいない。管理システムというものは当然、会計などの他部署とのリンクや、発展性や拡張余地が考慮されなければならない。

　自社開発ソフトの失敗はそもそも、開発言語の選定ミスに始まる。開発の第一歩ですでに、失敗しているという意味だ。マイクロソフト・オフィスのAccessやExcelに付属されたVBA言語で開発してしまう例がかなり多い。我々のような本職はそのような簡易開発ツールではなく、.Netなどといった汎用性の高い言語系開発ツールしか使わない。

　簡易開発ツールはセキュリティが脆弱だ。マルチユーザー（同時アクセス）に対応できず、データ破損も頻発する。マイクロソフト自体が既存のVBAの仕様を無視したバージョンアップを行うことも珍しくない。

　そして、処理種類の圧倒的な違いだ。例えば弊社SimLexの各種パッケージソフトに内蔵された処理種類は1200本規模。一方の自社開発ソフトはいいとこ100本で、拡張しようにも大抵はシステムがパンクしてしまう。

スクラッチ開発の費用はパッケージ導入の3、4倍

　そのような自社開発ソフトを、（オーダーメイドの）スクラッチ開発で置き換えたいという依頼がままあるが、システム解析がほとんど無理で時間と手間が非常にかかる作業となる。システムを破棄して新たなパッケージを導入するより3、4倍の費用を見込まなければならない。「我が社はこれまでエクセルを使ってきたので、管理システムもエクセルを元に開発してほしい」と依頼されるのと同じだ。ただ、そのような作業を厭わずにスクラッチで引き受ける業者も確かに存在する。儲かるからだ。

　かといって、パッケージならインストールするだけで簡単というわけでもない。パッケージソフトというのは不特定多数のユーザーに利用される分、あらゆる需要を想定して開発されるから、それを使いこなすのも難しくなる。自主開発が可能なほどの優秀な方にはぜひ、パッケージを理解して使いこなしていただきたい。それが最終的に、その方が勤める企業の発展にもつながるからだ。

SimLex Developmet Co., Ltd. 古賀 敏生

九州大学を卒業後、大手ベアリング会社に就職し生産技術研究所にて工程設計を経験し、38才で独立後スケジューラ・生産管理システムを中心とした開発・販売を実施した。その後、タイにてSimLex Development Co., Ltd.を設立し、0ベースよりERP・生産管理システム・会計システムを開発・販売し現在に至る。

住所：382 Nice 2 Building, 5th Floor,Room 5/10 Ratchadaphisek Rd, Samsennok,
Huai Khwang, Bangkok 10320
電話：0-2694-3254, 087-829-6515（日本語）
ウェブサイト：https://simlex-grp.com/
Eメール：simlex_sales@globe-works.net