タイ法務省、寺院運営の透明化に向けて法知識普及 国家仏教事務局との連携で啓発事業

【タイ】タイ法務省は首相府国家仏教事務局との連携で、仏教寺院運営に関する法知識の普及とガバナンス強化を目的とした啓発事業「寺院に寄り添う知識がガバナンス原則への扉を開く」を開始した。法務省庁舎内で1月23日に開かれた開会式には、関係省庁や仏教などの関係者らが出席した。

 同事業は、寺院の管理運営に関わる法制度への理解を深め、適正なガバナンスの確立を図ることを目的としており、シリキット王太后への献上事業として実施される。開会式では、法律と仏教の教えは相互に深く結びついているとし、タイの法制度には仏教的価値観が反映されていると説明された。1)慈悲や公平性を重視する「四無量心」、2)殺生や窃盗などを戒める「五戒」、3)行為の意図を重視する考え方が、タイの刑罰の軽減や量刑判断、過失と故意の区別など、法律の制定や運用に生かされている。

 一方で、仏教の世界にも法律が存在し、僧団法(サンガ法)に基づいて寺院は法人格を持ち、財産の保有、賃貸、訴訟の当事者となり得ること、住職や会計担当者は法的には公務に準じる立場にある。その上で、寺院運営には教義だけでなく法令遵守が不可欠であり、法の支配、倫理性、透明性、説明責任、参加、効率性という政府が掲げる六つのガバナンス原則は、寺院にも適用できる。

 法務省の役割は、寺院行政の主管は最高僧会議と国家仏教事務局であるとした上で、法務面での支援機関としての幅広い関与となる。科学鑑定を担う法医学研究所、債務調停を行う執行局や人権擁護局、裁判外紛争解決を担う仲裁機関(TAI)、重大事件を扱う特捜局などが寺院の課題解決を支援する。

 さらに、法務基金事務局による訴訟支援や保釈支援、地域法務センターや地方法務事務所を通じた法教育の提供など、法知識の普及も重要な役割。今回の事業を主催した法務政策事務局が、仏教の教えと法制度を結び付ける役割を担う。

写真:タイ首相府

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