タクシン派主導の新連立内閣発足へ、ライバル民主党が政権参加

【タイ】タクシン・チナワット元首相の次女のペートーンターン・チナワット首相(38)率いる新内閣がワチラロンコン国王の承認を受け、4日、閣僚名簿が官報に掲載された。

 セーター前内閣の連立与党のうち、内部分裂に陥った親軍王党派パランプラチャーラット党のプラウィット党首(元副首相兼国防相、元陸軍司令官)率いる主流派が野党に追いやられ、同党のタマナット幹事長派が政権に残留した。また、野党だった王党派の民主党が新たに連立与党に加わった。民主党は2001年以来、タクシン派と激しく対立してきた。2023年の総選挙で大敗を喫したことで、チュワン元首相らそれまでの主流派が力を失い、宿敵にひざを屈する形で政権入りする。

 与党第1党でタクシン派のプアタイ党(党首、ペートーンターン首相)は前内閣のプームタム筆頭副首相兼商務相が筆頭副首相兼国防相に横滑りした。ピチャイ副首相兼財務相、マーリット外相、ソムサック保健相らは再任。スリヤ運輸相は副首相兼任となる。

 与党第2党のプームジャイタイ党はアヌティン党首が副首相兼内相、王党派ルワムタイサーンチャート党はピーラパン党首が副首相兼エネルギー相に再任された。民主党のチャルームチャイ党首は天然資源環境相に就任した。

 2023年の総選挙で第2党となったプアタイ党は長く対立してきた王党派と手を組み、第1党でリベラル派の前進党を野党に追いやって、政権を発足させた。しかし、憲法裁判所が先月14日、閣僚人事で憲法違反があったとして、同党のセーター首相を解任。連立与党はペートーンターン氏を後任の首相に選出し、組閣作業を進めていた。

《ペートーンターン・チナワット》 1986年、米ロサンゼルス生まれ。タクシン・チナワット元首相の次女。英サリー大学国際ホスピタリティ管理学部卒。チナワット家の不動産会社の役員などを務め、2023年10月にプアタイ党党首に就任。既婚で、2児の母。2019年に香港のホテルで挙式した際は、プミポン前国王の長女のウボンラット王女が仲人を務めた。

ペートーンターン首相(写真提供、タイ首相府)

プームタム筆頭副首相兼国防相(写真提供、タイ首相府)

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