タクシン氏次女、タイの次期首相に 16日指名選挙

【タイ】タイ憲法裁判所が14日、閣僚人事で憲法違反があったとして、セーター・タウィーシン首相(62)を解任したことを受け、セーター氏が所属する与党第1党プアタイ党は15日、下院で16日に行われる首相指名選挙に、プアタイ党の実質的な党首であるタクシン・チナワット元首相(75)の次女でプアタイ党党首のペートーンターン・チナワット氏(37)を擁立することを決めた。連立各党はこれを了承し、ペートーンターン氏が次期首相に就任する見通しとなった。

 14日にタクシン氏の自宅で行われた連立与党幹部による会合では、プアタイ党所属のチャイカセーム・ニティシリ元法相・元検事総長(75)を首相候補に擁立することが決まったと報じられた。しかし、チャイカセーム氏が昨年脳卒中で治療を受け健康面で不安を抱えることや、過去に不敬罪の改正を支持する発言を行ったことから王党派の反発を招くという懸念が浮上し、ペートーンターン氏以外の選択肢がなくなったもようだ。

 タクシン派は2005年以降、軍、司法を握る王党派勢力と抗争を続けてきた。タクシン派の歴代の首相は2006年にタクシン氏が軍事クーデターで、2008年にサマック・スントラウェート氏が司法判断で、同年タクシン氏の義弟のソムチャイ・ウォンサワット氏が司法判断で、2014年にタクシン氏の妹のインラク・チナワット氏が司法判断と軍事クーデターで、そして今月セーター氏が司法判断で、それぞれ首相を解任された。タクシン氏とインラク氏はクーデターで国外に亡命し、タイ不在時の裁判で汚職などで実刑判決を受けた。タクシン氏は2023年にタクシン派と王党派による連立政権が発足したことで、恩赦を受け帰国したが、インラク氏は依然として事実上の国外亡命生活を余儀なくされている。こうした経緯から、ペートーンターン氏の首相就任については、家族から慎重な意見が出ていたという。

 

ペートーンターン・チナワット氏(写真提供、プアタイ党)

 

 

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