更新:バンコク都庁の30日午後6時時点の発表によると、倒壊ビルの被害者は、死亡:18人、けが:33人、不明:78人。
【タイ】3月28日午後1時20分頃に発生したミャンマーを震源地とする地震で、バンコクでも横揺れが2度起き、ビルの倒壊や破損といった被害をもたらした。都民が一斉に避難したため短時間で渋滞が発生、夜になっても交通マヒの状態が続いている。
日本人の実感値で「震度3」
地震発生時に建物屋内にいた複数の在バンコク日本人に実感値を尋ねると、ほとんどが「震度3」だった。「書類棚のフォルダーが崩れてきた」「水槽の水が横揺れであふれて床を水浸しにした」ものの、震度4に定められているような「上からものが落ちてくる」ことはなかった。
「長周期地震動」と呼ばれる、横にゆらりゆらりとした揺れが、数十秒もしくは1、2分という長さで2回ほど感じられた。ほとんどの人が最初、「めまいを感じている」「自分がゆらゆらしている」と思い、しばらくして地震と気づいた。
都民が一斉に避難、帰宅
屋内にいた人々は揺れを感じると一斉に外に避難した。利用が集中したせいか、携帯電話やSNS通話が1時間ほど、ほとんどつながらなかった。「午後2時半にアフターショック(余震)の可能性」という話が広まったため、人々は屋内に戻らないまま街中にあふれ返った。バンコク都心部のタイ警察本部は敷地を開放し、飲料水などを配布した。
また、多くの企業が社員に帰宅を指示。都市鉄道が運行を見合わせたために交通手段が自動車、バイク、路線バスのみとなり、午後2時の時点で帰宅ラッシュのような渋滞が発生し、一般道および高速道路が交通マヒの状態に陥った。さらには、商業施設が来客を避難させて店舗を一時閉鎖。同時に駐車場も閉めたことにより、駐車場から慌てて出てきた車と駐車する場所を失った車が路上にあふれ返るなど、混乱に拍車をかけた。立ち往生する緊急車両も、そこかしこで見られた。
建物倒壊、3人死亡、68人けが、81人生き埋めか
ウィークエンドマーケット(チャトゥチャック市場)近くで建設中だった33階建てビルが地震によって倒壊、午後6時40分時点で3人死亡、68人けがが確認されている。また、81人が生き埋めになった可能性があるという。同ビルは2020年に着工、進捗率30%。多くのミャンマー人労働者を含む400人ほどが現場で働いていたという。建物は、日本の積み木崩しのようにあっけなくバラバラに倒壊したことから、手抜き工事が疑われている。
ほか、高層ビルの上層部のプールが横揺れによって溢れ出し多量の水が地上に降ってきたり、同じく高層ビルの屋上からクレーンが倒壊したり、そのほかの落下物が確認されたりした。ニュースとして報じられていないが、建物の一部にひびが入ったり崩れたりした事故は、相当数あるものと思われる。また、死亡事故を何度も起こしているラマ2世通りの工事現場でも落下物が確認されたが、当局は「事故には至っていない」といった苦しい表現で批判をかわした。
都内でのイベント中止、モーターショーはホンダなどブース消灯
都内で行われていた展示会も中止や中断が相次いだ。都心部で開催中のブックフェアが、来場者を避難させた後、そのまま中止となった。郊外で行われているモーターショーは継続して行われたが、ホンダや一部の中国メーカーが「安全確保」のため展示を打ち切ってブースを消灯させていた。
在タイ日本国大使館が14時半に発出した「【注意喚起】ミャンマー(タイ国境付近)における地震の発生」によると、ミャンマー(タイ国境付近、メーホーンソーンから326キロ地点)を震源地とする地震が2回発生。規模は13時20分がマグニチュード8.2、13時32分がマグニチュード7.1だった。
写真:Police TV
動画:Fire & Rescue Thailand
アソーク通りの商業ビルの屋内 写真:newsclip
屋外に避難して再開を待つ店舗従業員 写真:newsclip
モーターショーの消灯したホンダのブース 写真:newsclip
交通マヒとなったバンコク都内
夜になってもほとんど動かない高速道路 写真:newsclip
動画:Fire & Rescue Thailand