【タイ】深南部ソンクラー県テーパー郡の建設現場で11月20日午前6時頃、M79グレネードランチャーによる擲(てき)弾2発が打ち込まれ、作業員3人がけがをした。現在、治安当局の現場検証が続いている。
これまでのタイの各メディアの報道によると、擲弾が打ち込まれた場所は民間企業の私有地で、観音堂が建設途中だった。擲弾は敷地内の作業員が寝泊まりする仮設住宅に命中し、救出された作業員は全身傷だらけだったという。
被害を受けた土地を所有する会社は、隣のチャナ郡での工業団地開発に関わっているとされ、反対派による攻撃の可能性もある。また、テーパー郡とチャナ郡は、タイ深南部の分離独立テロ地域に含まれており、一連のテロとの関連もあり得るとされる。
タイ深南部と呼ばれるパタニー、ヤラー、ナラーティワートの3県と隣接するソンクラー県3郡では以前より、分離独立を大義名分とするテロが続いている。マレーシア国境という土地柄、ムスリムが住民のほとんどを占めるため、一連のテロも「イスラムテロ」と報道されるが、宗教的な争いはない。本質は単純な利権争いと見られる。
M79グレネードランチャーは、米軍がベトナム戦争で使用していたことで知られる古い武器。2010年に起きた赤シャツ(親タクシン派)暴動でも、赤シャツ側のデモ参加者が持ち出してきて、バンコク都内のホテルやBTS(高架鉄道)駅に向けて撃ち、施設を破損させて居合わせた人たちにけがを負わせた。
タイの各メディアがウェブサイトに掲載している、現場の写真