【タイ】労働省は、在宅で委託業務を行う労働者の保護を強化するため、「在宅委託労働者保護法」の改正案を下院に提出した。改正されれば、賃金未払いに年15%利息が加算され、悪質違反は罰金200万バーツ(1000万円相当)が科せられる。
在宅委託労働者への報酬未払いや保証金の未返還は以前から問題視されており、10月21日にはジュラパン・アモーンウィワット労相が下院で、「仕事を納品しても報酬が支払われない、支払いを先延ばしにされる、保証金が返還されないといった訴えを頻繁に耳にする」と報告していた。改正案は、2010年から施行されている現行法を見直すもので、報酬や保証金の未払い対策を強化するとともに、電子文書への対応や児童・妊婦の安全保護を盛り込み、働き方の変化に対応した法整備を目指す。
事業所内で行う業務と同種の仕事を在宅委託する場合、報酬を労働保護法に基づく賃金額以上、または関係委員会が定める基準以上とするよう義務付ける。支払いは原則としてタイバーツ建てとし、労働者が同意した場合に限り、法律の定める条件の下で手形や外貨による支払いを認める。
委託者が報酬や保証金を支払わない場合や、医療費、リハビリ費用、葬祭費など労働者保護に関わる費用の支払いを怠った場合には、年15%の遅延利息の支払いを義務付ける。また、正当な理由なく未払いを続けた場合は、支払期限から7日経過後、未払い額の15%を7日ごとに追加負担しなければならない。
一方、労働者側が報酬の受け取りを拒否した場合や受け取れない場合には、委託者が労働保護福祉局長に供託することで、利息や追加負担の発生を免除する仕組みも導入する。死亡時の相続人など法定受給者への支払い手続きも定める。
適用対象となる在宅委託業務も拡大。従来は主に工業分野を対象としていたが、商業、農業、サービス業にも対象を広げる方針で、在宅委託労働者や労働監督官の定義も実態に合わせて見直す。さらに、電子取引法に基づく電子文書を認め、契約や監督業務のデジタル化を進める。
児童や妊婦の保護も強化する。15歳未満の児童を在宅委託労働に従事させることを禁止するほか、健康や安全に危険を及ぼす業務については、従事可能年齢を15歳から18歳に引き上げる。18歳未満の児童や妊婦に危険な業務を行わせ、身体や精神への危害、または死亡事故が発生した場合は、最長4年の禁錮刑または最高200万バーツの罰金を科す。
ほか、在宅委託労働者保護委員会の構成や権限を見直し、男女比やジェンダーの視点を反映させる。軽微な違反については行政罰を適用し、必要書類の未作成などを対象とするほか、委託者が命令や判決に従って義務を履行した場合は、刑事事件を終結できる規定も盛り込んだ。



























