タイ政府、データセンター投資の審査強化へ 電力安定と誘致の両立図る

【タイ】政府が導入を予定しているデータセンター投資の新たな審査制度について、エネルギー規制委員会(ERC)は「電力の安定供給を守りつつ、成長産業への海外投資を妨げない枠組みになる」と述べた。制度は今年第4四半期に施行される見通しで、具体的な時期はエネルギー政策行政委員会が決定する。

 ERCはタイのメディアに対し、投資への影響についてコメントを控え、「審査の目的は国家の電力安全保障への影響を確認すること」とのみ説明している。制度には保証金や新たな電力料金の支払い義務が盛り込まれる方向で、冷却設備に大量の電力と水を消費するデータセンターの急増を踏まえ、資源管理を強化する狙いがある。

 当局は制度が投資誘致と両立可能だとしつつ、既存事業者への適用は未定ともしている。新規事業者のうち、投資委員会(BOI)の優遇措置をまだ受けていない案件が主な対象になる可能性が高い。制度の施行時期は申請件数の急増を踏まえて「第4四半期初めが妥当」とし、2026年電力開発計画(PDP)の策定完了とも整合させる。

 審査制度は化石燃料と再生可能エネルギーの双方を効率的に管理し、国民への負担増を避けるための基準を設ける。ERCは「料金設定機関から電力安定とコスト転嫁防止を担うエコシステム設計者へ役割が変わる」としている。投資額、雇用、税収など具体的な経済効果が重視され、ハイパースケール型の大規模投資が優先される一方、暗号資産マイニング施設などは優先度が低くなる。

 企業が必要以上の電力枠を確保する「架空需要」を防ぐため、1MWあたり450万バーツ(2200万円相当)の保証金を求める案が浮上しているという。事業者は5〜7年以内の商業運転開始を示す必要があり、履行できなければ割り当て容量は取り消されて産業用途に再配分される。

 最大500MWを要する案件もあるため、周波数・電圧の安定性確保を目的に蓄電池(BESS)などの分散型蓄電設備の設置が義務付けられる。緊急電源の稼働を招いた場合は付帯サービス料金を支払い、燃料費上昇分を反映する「タイプ9」電力料金も適用される。これによってデータセンター需要増が家庭向け電気料金に転嫁されることを防ぐ。

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