タイ首相、17年ぶりにアセアン事務局で演説 アセアンの将来像へ3つの方向性を提示

【タイ・インドネシア】アヌティン・チャーンウィーラクーン首相は8月4日、インドネシア・ジャカルタのアセアン事務局(ASEC)で、タイのアセアンに対する将来ビジョンを示す演説を行った。アセアン常駐代表や各国外交官ら100人以上が出席した。タイ首相が同事務局で演説するのは17年ぶり。

 首相は、地政学、経済、技術、安全保障が複雑に絡み合う現在の世界では、単独の国家では課題を解決できず、「地域の課題には地域の解決策が必要だ」と述べた。そのうえで、アセアンが世界的な課題に対応し、地域の主導的役割を維持し、国民に具体的な成果をもたらすための方向性として、1)強固な地域主義の構築、2)変動への備えと強靱性の向上、3)国民にとって持続的に意味あるアセアンの実現――、の3点を挙げた。

 第1の方向性である強固な地域主義について、首相は、分断が進む世界でアセアンの結束と中心性が一層重要になると指摘。コンセンサス原則や内政不干渉は基盤として維持しつつ、状況に応じ柔軟に運用することで、アセアンが一体性を保ち、効果的に行動できると述べた。

 第2の方向性である強靱性の向上では、危機発生後に対応するのではなく、事前の備えが必要だとし、サプライチェーン、エネルギー、食料の安全保障を強化し、デジタル連携や技術力向上を急ぐべきだとした。また、中堅国やグローバルサウス諸国との協力を広げ、依存先を分散し、地域の戦略的自律性を確保する必要性を強調した。

 第3の方向性である国民にとって意味あるアセアンでは、食料・エネルギー安全保障、越境犯罪対策、雇用創出、経済機会の拡大、若者のデジタル技能育成など、国民が実感できる成果が重要だとした。アセアンの制度と実行力を強化し、首脳の決定が実際の政策として国民に利益をもたらす仕組みが必要だと述べた。

 アヌティン首相は、アセアンは59年前の「バンコク宣言」によって創設され、対立の多かった地域を規範・協力・対話を重視する共同体へと変えてきたと振り返った。タイはアセアン自由貿易地域(AFTA)、アセアン地域フォーラム(ARF)、アセアン政府間人権委員会(AICHR)など、重要な枠組みの形成に貢献してきたと述べた。

タイ首相が15年ぶりのインドネシア公式訪問

写真:タイ首相府

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