中東情勢がタイのホテル業界に影 4~6月期の予約低迷で業界団体が政府に支援要請

【タイ】中東情勢の緊迫化が航空運賃の高騰や旅行需要の先行き不透明感を招き、タイのホテル業界に影響を及ぼしている。タイホテル協会(THA)は、4~6月期の先行予約が前年を下回っているとし、観光需要の下支えに向けた政府の対応を求めている。

 THAは先に会合を開き、中東情勢が国内ホテル業界に与える影響について意見を集約した。最新の状況分析や予約動向を確認。ティアンプラシット・チャイヤパッタラーナンTHA会長は、1~3月期の業績は目標を達成したものの、4~6月期は予約の伸びが鈍化して前年同期を下回っていると報告。下半期についても、多くの市場が様子見の姿勢にあると述べた。

 地域別に見ると、南部ではパンガン島などで主要な顧客層だったイスラエル人旅行者が減少。中東上空の回避などにより航空路線が制約され、一部路線では運賃が最大2倍に跳ね上がっていることが主因だという。

 バンコクではソンクラーン期間の予約が前年を下回り、MICE(大型会議・展示会)分野も下半期の予約が固まっていないもよう。西部での影響は限定的だが、燃料価格の動向を警戒する声が出ている。

 北部では中東情勢の影響、PM2.5(微小粒子状物質)による深刻な大気汚染、イスラエル市場の喪失という複数の問題が重なっている。ソンクラーン(タイ正月)期間中の予約率は50~60%にとどまり、例年の満室状態には及んでいない。

 東部では4~6月期の予約が例年より10~15%減少。原油価格の上昇が国内旅行に影響するとの懸念がある。ナコーン・ナーヨック県などでは、予算執行の遅れや中止などの理由で政府・国営企業による会議・研修が急減。一方、ビーチリゾートのパッタヤー(パタヤ)ではプーケットから需要が移ったロシア人旅行者による下支えがいくらかあるという。

 THAは当面の対応として、柔軟な予約・キャンセル対応による既存顧客の維持やMICE需要の取り込み、航空路線の影響を受けにくい市場への重点シフト、値下げではなく付加価値向上による競争力の強化、入国審査の混雑解消などを柱とする運営方針を示した。航空事情が正常化した際には、速やかに需要回復を加速させる体制を整える必要があるとしている。

 政府に対しては、旅行コストが高止まりする中での外国人向け入国手数料の導入延期、北部を中心としたPM2.5対策の強化、利便性と治安対策の両立を図ったビザ制度の見直し、エネルギー・燃料価格の引き下げによる国内旅行の支援、国内観光促進策の拡充、官公庁や民間の会議・イベント開催支援、チャーター便の拡充、閑散期を見据えた事業者向け資金繰り支援といった、8項目の対策を提案している。

パタヤビーチ 写真:newsclip

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