タイ金鉱汚染訴訟で住民側勝訴 裁判所が補償と水路浄化を命令

【タイ】北部ピジット県とペッチャブーン県の住民382人が起こした金鉱汚染を巡る集団訴訟で、民事裁判所は3月24日、鉱山操業による有害な環境汚染と健康被害を認定し、鉱山運営会社に対し、住民1人当たり最大20万バーツ(100万円相当)の賠償支払いと、汚染された水路の原状回復を命じた。

 訴えを起こしたのは、アカラ金鉱(チャートリー金鉱)の影響をおよそ20年にわたり受けてきたとする地元住民で、4人の代表がアカラ・リソーシズ社を相手取り提訴した。環境分野での集団訴訟としてはタイで初めてのケースとなる。判決言い渡しには50人ほどの住民が出席した。

 住民側は、鉱山から有毒な重金属を含む粉塵(ふんじん)が鉱区外に拡散し、発破作業による騒音や振動、廃滓(はいさい)池からの有害物質の流出があったと主張。シアン化合物、ヒ素、マンガン、鉄などの重金属が農地、水路、貯水池に広がり、汚染された用水が農業に使われた結果、コメやトウモロコシなどの作物に有害物質が残留したと訴えた。こうした食品や水を摂取したことで、住民の身体的・精神的健康に悪影響が生じたとしている。

 裁判所は、廃滓池から漏れ出た重金属が自然水路を通じて周辺の平野や用水路に流れ込んだことを示す証拠は十分にあると判断。住民の体内から重金属が検出され、粉塵や騒音の影響も受けていたと認定した。

 賠償額は、重金属濃度が基準値を超えた15歳以下の住民に20万バーツ、15歳超には10万バーツとした。基準値以下の場合でも、15歳以下は10万バーツ、15歳超は5万バーツを、精神的苦痛に対しては、基準超過の者に2万バーツ、そのほかに1万バーツ、医療費と飲食用水の購入費として一律各5000バーツの支払いを命じた。また、地域への危険性を理由に、廃滓池の一つの使用停止も命じた。

 被害住民を支援してきた財団は「大きな勝利だ」と評価しつつ、別の廃滓池の閉鎖を求めて今後も活動を続ける考えを示した。一方、アカラ・リソーシズ社は判決を受け入れる姿勢を示しながらも、法的対応について検討するとしている。

 アカラ金鉱は両県にまたがり、2001年から2017年までに金180万オンス、銀900万オンスを産出した。2016年に操業停止命令を受けた後、環境保全、土地管理、地域住民の健康対策など厳しい条件が課されて2023年に再開している。

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チャートリー金鉱(写真:タイ工業省)

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