タイとシンガポール、コメ取引で政府間協定 5年間で最大10万トン

【タイ・シンガポール】タイとシンガポール両政府は11月7日、今後5年間で最大10万トンのコメを取引する政府間協定(MOC)に署名した。食料安全保障の強化と両国の貿易関係の深化を目的としたもので、署名式はシンガポールで行われた。

 タイ側は商務省国際通商局(DFT)、シンガポール側は食品庁(SFA)が実務を担う。協定は11月4日の閣議で承認され、スパジー・スタムパン商務相が署名した。内容は、タイ政府がシンガポール政府に対し、署名日から5年間で最大10万トンのコメを販売するというもの。取引価格は国際市場の相場に基づき、その都度合意する方式で、事前に固定価格を設けない。協定はシンガポールの需要や両国の生産・消費状況に応じて、さらに5年間の延長が可能とされる。

 取引量は「最大で」10万トンと定められ、全量が強制されることはない。実際にはシンガポールの需要に応じて決まるという。期間中、両国は協定内容の見直しや修正を文書で合意でき、外交ルートを通じて6カ月前に通知すれば協定を前倒しで終了することもできる。

 タイ商務省によると、2024年のシンガポール向けコメ輸出量は11万3549トンで、輸出額は1億214万米ドル。2025年1~9月は9万31トンで、前年同期比5%増となった。輸出の内訳はジャスミン米50%、白米29%、香り米16%などが占める。シンガポールのコメ輸入市場は、インドがトップでシェア42.82%を占める。次いでベトナムの同28.10%、タイの同22.34%となっている。

写真:タイ首相府

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