タイ有数の面積を誇り、ミャンマーとの長い国境線を有する、山に囲まれた大きな県。ミャンマーの攻撃を迎え撃つ要衝とされ、スコータイ王朝のラームカムヘーン、アユッタヤー(アユタヤ)王朝のナレースワンやナーラーイ、トンブリー王朝のタークシンといった歴代の王がタークに兵を集結させた。現在は友好橋で知られるメーソートなど、タイ人やミャンマー人のほか、カレン族やリス族といった少数民族が行き交う、多民族な国境貿易の拠点として栄えている。
ミャンマー側では今でも、政府軍と少数民族の間で戦闘が続いており、国境を越えてターク側にも飛び火している。メーソートを中心に、北はメーラマート、南はウムパーンにかけて、戦火を逃れてきたカレン族などの少数民族が国境線に沿って難民キャンプを形成している。家や集会所を建て、診療所や雑貨屋を開くなど、現在は難民キャンプのイメージとは程遠い立派な「村」。彼らがタイ人でないと分かるのは、着る服や話す言葉からで、車で通り過ぎるだけでは難民キャンプとは気付かない。
最近はまた、ミャンマー側に特殊詐欺や人身取引などを行う国際犯罪組織の存在が明らかとなり、タイを経由する人身取引が疑われた。
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人口:67万6583人(2021年、内務省地方自治振興局)
面積:1万6407平方キロメートル(エネルギー省)
距離:バンコクから426キロ(タイ道路協会)
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