泰日工業大学で「KAIZEN」セミナー開催 作業分析「OTRS」&システム開発「MOVE」

 バンコク都内の泰日工業大学で2024年10月18日、経営工学(IE)に基づく生産現場での「KAIZEN」(改善)を追求するセミナーが開催された。作業分析/業務最適化ソフトウエア「OTRS」を開発するブロードリーフ社と、タイでシステム開発やパッケージソフト販売・サポートなどを手掛けるムーブ社が主催。OTRSの活用方法や、泰日工業大学やニッパツのタイ現法のNHKスプリング(タイランド)による導入実績が、それぞれ紹介された。

高技能者のカン・コツを可視化して「精密・正確な工程&品質管理」を実現

 同セミナーは泰日工業大学の工学部棟で開かれた。参加者は40人を超し、多くがタイ人の若者で、ほぼ半数が女性。工場が建つタイ東部地方から訪れた、世界的に知られた米国系精密機器メーカーのスタッフの姿も見られた。3時間近くかけてのセミナーだったが、参加者は最後まで真剣に聞き入っていた。

 セミナーは、ブロードリーフ社のタイ現法であるBroadleaf Co., Ltd.のポッドサワット・カンヌイ氏(プラットフォーム・プロモーション部)によるOTRSの紹介から始まった。第一部では、実際の現場での動画撮影、その動画の分析方法などについての詳細な説明がなされた。

 OTRSは、「Operation Time Research Software」の略で、映像による動作分析や時間分析といった機能を駆使することにより、生産・製造現場での作業時間の「短縮」「省力化」「コスト低減」を実現するソフトウエア。稼働率やバラつきなど、実際の作業映像を分析することで現状を把握すると共に、業務の見える化を進めて「ムリ」「ムダ」「ムラ」を取り除く。

 単なる計測と分析にとどまらず、効率化に向けての作業指示書を作成できたり、教育訓練の材料や技能伝承のツールに利用できたりと、さまざまなシーンでの活用が可能だ。

 スタンダート版である「OTRS10」のほか、データ入力などの作業を支援するAI(人工知能)の機能を必要に応じて追加する「OTRS+AI」、モバイル技術を駆使して場所を制限せずにどこででも活用できる「Mobile OTRS」といったバージョンも揃った。セミナーではまた、計測に最適なアイトラッキングカメラも紹介された。

 OTRSは、誰もが知るような日本を代表する数々のメーカーが導入済みで、もはや時間および動作分析ソフトウエアの「ゴールドスタンダード」とみなされている。日本の自動車メーカーの9割方を顧客とし、全世界で1万社以上の導入実績を誇る。

大学がOTRSを導入、授業やインターンシップなどで活用

 第二部では、泰日工業大学工学部のティティラット・ヴィヴィットゲユーンウォン氏による、同大によるOTRSの導入とタイ国内メーカーへのKAIZEN提案とその実績が紹介された。同氏は工学部でインダストリアル・エンジニアリング専攻長を務める。

 日本では、企業にとどまらず大学などの教育機関がOTRSを導入する例が珍しくないという。泰日工業大学もOTRSを導入して、授業などに活用しているようだ。

 学内では大方、過程分析の授業にOTRSを利用する。例えばブロック玩具のレゴを用いて、複数のグループに分かれた学生たちにスポーツカーやトラックなどを作ってもらう。その際、ブロックの色も指定する。レゴを組み立てていく動作を録画してOTRSで分析し、結果を自ら確認したりほかのグループに意見を求めたりするなどして、過程分析を学んでいってもらう。

 学生によってはレゴの組み立てをタイヤから始めたり、屋根から始めたり、色の選び方に特徴があったりと、授業開始から興味深い行動を垣間見ることができる。そのような授業から考え出した効率化の知識を競い合うコンペなども企画する。

 さらには、卒業前のインターンシップ(就労体験)にも利用される。学生がインターンシップ先の企業でOTRSを用いて作業分析を実施、実現可能であろう効率化の提案を大学が評価するという実践的な学びだ。

 ティティラット氏はマタニティ・乳児製品を製造する日系メーカーのピジョン・インダストリアル(タイランド)での学生のインターンシップを例に挙げた。学生が実際の生産ラインで作業効率を分析し、12人から7人までの削減が可能という提案に至ったという。

 ダイキン・グループのタイ現法でのインターンシップの実例も紹介。学生は当初、空調機の部品の生産ラインでストップウォッチを用いて作業時間を図ろうとしたが、自動化で動作が素早いために手作業では不可能と判断。OTRSを利用して計測し、分析作業に取り組んだという。もちろん、企業がそれを受けて効率化に乗り出すか否かは別として、提出された提案は優秀なものだったという。

計画通りに進行する効率化、OTRS活用によるさまざまなメリット

 次いで、NHKスプリング(タイランド)の導入実績が、同社の生産効率化部門からのセーンサック・クアッククントート氏とスパコン・ウォンサン氏によって紹介された。冒頭より、計画と差異なく実践が可能であることを強調していた。

 作業効率の向上を図るに当たって、まずは対象とする生産ラインの選定に始まる。特定の生産ラインを選んだら録画を始め、その映像をOTRSによって分析、そこから得られるべき効率化を提案する。その提案に沿って改善を試み、効率化を実現していく。例えば半年先の実現を目標としたならば、実際に半年で達成することが可能と、セーンサック氏は説明した。

 同社の実例として、労働力の20%削減を目標としたならばそのとおりに、それまでの69%の労働効率を100%といわずとも95%まで引き上げることを目標としたならば26%向上して95%に、といった具合に計画通りの実現例はいくらでもある。

 セーンサック氏は、作業の効率化が重要な目標だが、それだけにとどまらないと話した。目的達成によってより高度な「新たな標準」を設定でき、「社員教育」にも繋げられ、「正確な分析・報告」が常となり、より高レベルでの「実績の構築」を継続できるなど、さまざまなメリットを見出せるのがOTRSだと評価した。

 同セミナーでは、泰日工業大学のティティラット氏の説明の後、参加者から「我が社の工場にも分析に来てほしい」と手を挙げた姿が見られたなど、充実した内容となった。

ポッドサワット・カンヌイ氏

アイトラッキングカメラの実例

ティティラット・ヴィヴィットゲユーンウォン氏

セーンサック・クアッククントート氏

スパコン・ウォンサン氏

【製品紹介】高技能者のカン・コツを可視化「精密・正確な工程&品質管理」が可能に!! by Move

株式会社ブロードリーフ
〒140-0002 東京都品川区東品川4-13-14グラスキューブ品川8階
ウェブサイト:https://www.broadleaf.co.jp/

OTRS紹介サイト:https://www.otrs.jp/

タイ国内お問い合わせ:
MOVE (THAILAND) CO., LTD.
電話:0-2381-5771~3, 092-735-3283(秋山)
ウェブサイト:https://www.movethailand.net/
Eメール:d-akiyama@move-net.jp(秋山)
Eメール:sales_mt@move-net.jp
(タイ人営業:Aumm 095-497-6539, Big 080-036-6459)

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