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〈タイ業界事情〉AI機能とOCR機能とを組み合わせることにより入荷処理をどこまで自動化できるのか BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
- 2024/3/20
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難波 孝次 氏 Managing Director
AI機能とOCR機能とを組み合わせることにより入荷処理をどこまで自動化できるのか
今回は前回の続きと言うことで、カメラ撮影からのOCR機能とAI機能とを組み合わせることによる入荷処理の自動化についての話をさせていただければと考えております。前回はQRコードを利用した在庫管理についての説明で、入荷処理が終われば入荷品に社内のQRコードラベルを貼りつけることにより、以降の処理については同QRコードを活用することが出来るが、肝心の入荷処理自体にはQRコードを活用することが出来ないという内容について説明させていただきました。
それではどうすれば良いかと言いますと、今ある状態のままで何とかする方法を考えた場合、通常入荷品にはQRコードラベルまでは無いかも知れませんが仕入先さんが出荷処理をおこなう為の何らかのラベルが貼られていることがほとんどだと思われまして、その既存のラベルを利用することを考えます。ただ当然ながらこちらから指定したものではなく、どういったラベルなのかというのは千差万別ではあるのですが、そこでそのラベル内容をいくつかのケースごとに分け、それぞれの対応方法を考えてみたいと思います。
1、ラベルにQRコードが印刷されているケース
入荷品のラベルにQRコードが印刷されているのであれば、これは他のケースと比べると比較的対応が楽になります。そのQRコードは当然のことながら仕入先さんが出荷処理に使用される目的で作成されていると思われますので、格納情報としては品目番号、品目名、ロット番号それから数量等の最低限のものは含まれているものと予想され、中には出荷日付や発注番号(これはあまりないかも知れませんが)等の情報も含まれている可能性もあります。とは言いましても初期状態ではこのQRコードの決め事である区切り記号が何で構成されているのか、どういった順番でどういった項目が並んでいるのか等については皆目分からない状態ですので、例のAI機能を駆使することにより何れの項目が何れの順番で格納されているのかを分析して、同内容が誤っていれば手動で補正をおこなうという作業は必要となります。ただ最初にその作業をおこなっておけば、以降は仕入先さん毎のQRコードパターンに基づく自動読み取り処理が可能となります。
2、ラベルに1次元のバーコードが印刷されているケース
このケースもQRコードと同様必要情報の格納場所が明確になっているということですので、対応は簡単で印刷されているバーコードをスキャナーで読み取るだけではあるのですが、ただ1次元のバーコードはQRコードと違い格納されている情報量が少ない為、これを補う為複数個のバーコードが並べて印刷されているケースが多く、その分何度もスキャン処理を行わないといけないのでオペレーションは複雑になります。その反面一つのバーコードには一つの情報のみが格納されていることがほとんどですので、前述のAI機能による項目分析作業の点からいえば項目検知が楽であるというメリットはあります。
3、ラベルに文字情報しか印刷されていないケース
このケースでは対応方法としては1つのみで、ラベルをカメラ撮影して同内容をOCR機能を用いてテキスト情報としてシステム内に取り込む形となります。それで取り込まれた内容を前項と同様AI機能により項目分析を行う訳ですが、QRコードやバーコードと異なり規則的に項目が格納されている訳ではありませんので、分析作業の正確さには多少難があり手動による補正作業が多くなるという形になるかとは思います。ただオペレーション的にはカメラ撮影を1回おこなうだけですので、前項の1次元バーコードのケースに比べると楽ではあります。
4、そもそもラベルすら存在していないケース
これはもう如何ともし難いといいますか普通に考えますとどうすることも出来ない訳ですが、ただラベルが無いとしても入荷品の格納箱が全くの無地ということは考え難く、入荷確認を目視でおこなう為の最小限の情報である品目名や箱入り数量は格納箱自体に印刷されているのではと想定されます。その場合も基本的には前項と同様に箱自体をカメラ撮影してOCR機能にてテキスト情報を取り込む形になるのですが、この場合はあまり多くの情報量は期待できないのではと思われます。
ということで上記のように自社のQRコードラベルが無くとも、AI機能を駆使することにより既存の環境のみで対応をおこなう形を説明させていただきましたが、ただテキスト情報しかないケースであれば普段人間が目視で確認している作業をAIにやらせるというだけで、それほど目新しい内容でもないのではと言われればその通りでございます。
それでは、この作業を更にもう一歩進めた活用法を考えてみたいと思います。どういう事かと言いますと、入荷確認処理が既存のラベルで行えるのであれば、以降の処理も同じコンセプトで行けるのではないかという事です。具体的には、通常入荷処理終了後に社内の品番、品名及びロット番号を格納したQRコードラベルを印刷して入荷箱に貼りつける作業が必要になるのですが、その作業自体をそっくり省いてしまって、入荷以降に行われる場所移動や生産ラインへの投入、または月末時の棚卸処理に至るまで、他社さんのラベルを用いておこなってしまおうという事になります。
ただ実際にこの手法が使用出来るのは、前述のラベルパターンの内第1項のQRコードラベルが貼られているケースくらいではあるのですが、もしこのことが可能になるのであれば、ラベル用紙やプリンターのみでなく印刷作業や貼り付け作業なども不要になるのですから、かなりメリットは大きいと言えるのではないでしょうか。まあ他人の褌で相撲を取ると表現するとあまり聞こえは良くないかもしれませんが、既存の環境に何一つ加えることなく社内の機能改善がおこなえるのですから、エコロジーの観点から考えましても優れた手法なのではないでしょうか。
具体的な手法についてはそれほど複雑なものでもなく、上記の読み取り処理により既存のラベルから品目コードや数量、それからロット番号が取得出来るのであれば、それらの情報に社内の品目コード及び社内のロット番号をシステム内で紐付けしておきます。そして入荷処理以降におこなわれる在庫移動や生産ラインへの移動処理では既存ラベルを読み込むことにより、あたかも自社ラベルを読み込んだ時と同じように自社品番と自社ロット番号とでシステム内の処理を進めていくといった形になります。
ということで今回はERPシステムの中でも在庫管理機能に焦点を当てて、入荷品の処理に対するAI機能の利用方法を説明させていただきましたが、次回も同じように社内の在庫品管理においてAI機能を活用することによりどこまでのことがおこなえるのかについて説明させていただければと考えております。
BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
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