タイで生産管理システム導入のコツ② 日本と同じ仕組みで良いですか?

 今回は生産管理システム導入にあたって『日本と同じ仕組みで良いですか?』というお題でお話しさせて頂きます。

 工場を立ち上げて数年生産も軌道に乗りいよいよシステム導入を検討する時に、日本からシステム導入経験者を赴任させて行うケースが良くあります。

 そんな時に注意してほしい事柄についてお話させて頂きます。もちろんタイ進出して長年営業されて日本の管理文化がしっかり根付いた企業には今回のお話はあてはまりません。今回は次の3点についてお話させて頂きます。

1.導入の進め方
2.管理レベル
3.生産方式

1.導入の進め方

 日本ではQCサークルなど現場担当者から積極的に改善活動を行う文化が根付いています。ですからシステム導入時にも各部門や現場の意見を聞いてそれを反映するやり方が多いと思います。

 この進め方は素晴らしいと思いますが問題点もあります。それは長年かけて構築した業務をシステム化するにあたり膨大なカスタマイズが発生する例がしばしば見受けられます。膨大なカスタマイズはパッケージソフトの特性である素早い導入・変化への対応・アップデートなどの利点を損ねることになります。

 さて日本から赴任された生産管理システム導入経験者の方が各部門長や担当を集めてシステム化に対して改善点や希望を聴取したとします。しかしなかなか意見が出てきません。タイの方は与えられた業務を適切にこなす能力には長けていると思いますが新たな業務を創造したり変革する事には臆病に思えます。また上長である日本から来たばかりの方に自分の意見を言える方は少ないのではとも思います。日本と同じボトムアップではなくトップダウンだけれど各担当の意見も取り入れる折衷案が良いと考えています。

 つまり大きな流れは日本人が考え、その仕組みを各業務担当に伝え、実行した場合の問題点やより良い方法などを具体的に話し合いシステムに反映させる方法です。

 但しその為にはグランドデザインを提案する方がタイ工場をよく知る必要があります。その方法を実行するにあたり心がけるべき事柄を次項以降でお話しさせて頂きます。

2.管理レベル

 良く現場と管理は車の両輪だと言われます。実に良くできた例えだと思っています。片方ばかりが速く回転すればその場でクルクル回るばかりで前に進めません。私は個人的にシステム化というものを次のように捉えています。『誰がやっても正しく入力すれば均一な時間と精度で結果が出る』ということです。
システムとはそういう道具や仕組みだと思っています。

 但しその道具や仕組みは現場のレベルに合わせて提供しなければなりません。例えば現状在庫精度が低い・資料が出てくるまで数日かかる・製造報告書に間違いが多いといった状態で、入力工数が倍増するロット管理・原価計算を含むフルシステムの導入はお勧めできません。

 生産管理システムは魔法の箱ではありません。初めての生産管理システム導入なら現場に合わせたシンプルな仕組みをご検討ください。

3.生産方式

 日本では多様化するお客様のニーズに応えるために『少量多品種生産』に対応した管理が求められるケースが多いと感じています。『少量多品種生産』では多くの製品を製造するため原材料も多くなりその発注頻度も増えていきます。また工程替え頻度も増え原価把握も難しくなります。

 それらを管理するには在庫精度を高め自動発注を実現したり、切り替え時間や製造時間を厳格かつリアルタイムに入力し進捗の把握や実際原価を求める事が必要になります。

 またその生産方式を支える為には生産環境も重要な要素になります。顧客の短納期で多種のオーダーに応えるためには短い調達リードタイムが必要で、日本ではその環境が整備されている場合が多いのではないでしょうか?

 ではタイではどうでしょう? 主要パーツや部材は日本から送られて来て調達リードタイムが2か月必要というのは一般的な事だと思います。この状況ではある程度纏め生産を行って生産原価を下げるという生産方式が正解の場合もあります。場合によっては必要な製品在庫は悪ではありません。

 つまりタイでのベストな生産方式を理解した上でシステム導入を行う必要があります。

 次回タイで生産管理システム導入のコツは『どのモジュールから導入するか?』についてお話させて頂きます。

バックナンバー

タイで生産管理システム導入のコツ① 失敗しないための事前準備

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筆者:西本栄次
Material Automation(Thailand)Co.,Ltd.
SI4 Div Manager
日本での大型計算機販売の後
96年5月から在タイ

タイでは主に生産管理システムの販売・
サポートを中心に活動

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