〈タイ業界事情〉AI機能を活用した品質管理システムを考える BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.

難波 孝次 氏 Managing Director

AI機能を活用した品質管理システムを考える

 前回まではAI機能とその他OCR機能等を使用して在庫管理をより正確におこなえる方法を検討して来ましたが、今回は趣を少々変えまして表題の通りAI機能を活用した品質管理システムについて検討してみたいと思います。元々品質管理においてはAI機能は比較的早い時期から導入が試みられておりまして、そういう意味ではAIと品質管理は相性の良い機能であるとは言えますでしょう。ただどのように活用されてきたかと言いますと、製作品の姿形をカメラにより撮影して画像認識処理によりそのサイズや部品取り付け位置が規定のものかどうかを判別することにより不良品を見分けるという、要は人間の目視チェックの代替機能として使われることが多く、それはそれで非常に便利ではあるのですが、今回はその先の分析作業においてAIをどのように活用できるのかについてをお話させていただければと考えております。

 ということで品質管理における分析作業と言いますと、主目的としましては如何にして製作不良を減らすかに尽きるかと思われまして、その為にはどういった不良がどのような要因によって発生したのかを明確にすることにより、以降は同じようなことが起きないように対策を施すといった形になりますでしょうか。ただ、どのような要因によって不良が発生したのかについてを分析する作業は思いの外厄介でありまして、例えば元になる材料や制作機械の精度に問題があった場合であれば、それぞれ材料の品質や機械の精度を改善するという対応策をはすぐに考え付くかと思います。(それでもそれを実行するにはそれはそれで大変ではあるのですが)ところが実際にはそういった不良の発生要因は単純ではない場合が多く、そもそもシステム機能を用いて品質管理をおこなわないといけないという事実からして、不良要因の特定は一筋縄ではいかないということを物語っております。

 そこで今回はこの要因特定にAI機能を活用することにより、どのようなメリットがあるのかをパターンを挙げて説明させていただきます。

1、原因と結果が次々と転移して最終的に不良が発生するケースを特定

 以前からAI機能の説明をさせていただく際に「風が吹けば桶屋が儲かる」という話を何度か例として挙げておりますが、要はある事象が原因となってある結果が発生して、その結果が原因となってまた別の結果が生み出され、またその結果が原因となりといった感じで次々に原因と結果が転がっていくことにより、最初の事象が思いもよらぬ結果をもたらしてしまうというお話であります。それで何が言いたいのかといいますと、製作不良が一見無関係な事象により発生している場合を想定しておりまして、例えばある生産品目に対する穴開け加工において、何故か一定の割合で穴のサイズが該当製品のスペックに合致していないという不良が発生しているとします。ただ製作機械を調べてみても不良が発生した機械が特別なものということもなく、また同じ材料で同じ製品を制作するケースでも不良が発生する場合と発生しない場合があるという一般的な生産管理システムの情報のみでは偶然起こったとしか判断できないケースでも、他の事象を一つ一つチェックすることにより見えてくることがあります。それで色々と調べてみた結果、雨が降った日にそういった不良が多く発生することが分かったのですが、別に現場の湿度が影響するような作業でもないし通常であれば単なる偶然なのではと片付けられるような事象ではあります。ところが不良が発生した制作指示書を調査してみるといずれも当日の朝になって緊急オーダーが発生した為に差し替えをおこなったものであることが分かりました。ただ緊急オーダーによる差し替えは毎日行われており、他の日は全く問題が無いのに雨が降った日に限って不良が発生するというのはどうにも不可解でまるでミステリー小説のような感じではあるのですが、実は緊急オーダーによる差し替え作業を担当している人の出社時間に関係しておりました。どういうことかと言いますと、通常その担当者さんは朝7時過ぎには会社に到着して緊急オーダーの差し替え処理についても8時からの制作処理が始まる前までに余裕を持っておこなうのですが、雨が降った日は交通渋滞がいつもより酷くなる為会社に到着する時間は8時ギリギリになってしまいます。この為差し替え処理も短時間で行わないといけないので、仕様詳細のチェック作業がおろそかになりそれで指示ミスが発生してしまっていたという、雨が降れば不良が発生する話の正体はまさに風が吹けば桶屋が儲かる的な内容でした。

 まあこの例は今までにお客様から聞いた話をアレンジした創作ですので、話半分に聞いていただく程度で良いのですが、事実は小説よりも奇なりとも言われまして実際にはこの内容以上に奇抜な現象が発生していることも考えられます。そこで品質管理における不良要因の特定処理の材料としましては、一般的な生産管理システムの情報のみではなく、その日の天気や気温、社員さんの出退勤の記録や会社の行事や事件事故、天変地異に至るまでありとあらゆる事象を取り込んでおきAIにより情報の取捨選択をおこなうことにより、一見無関係な事象に対しても要因特定をおこなうことが可能となります。

1、原因と結果が次々と転移して最終的に不良が発生するケースを特定

2、様々な複合要因により不良が発生するケースを特定

 これはどういったケースかと言いますと前項の内容と被ってくる部分もあるのですが、事象が一つだけでは問題なかったものが複数の事象がたまたま重なり合ってしまった時だけに発生する現象のことを想定していまして、この為一つの事象だけを追っていたのでは要因特定までたどり着くことが出来ないという、品質管理泣かせの要因と言えるでしょう。具体的な例で説明しますと製作する製品種類、使用する材料種類、製作する機械、使用する金型、それから制作をおこなう時間帯といった各種条件が偶然組み合わさってしまうとそれぞれの相性により不良が発生する確率が高くなるといったケースとなります。この場合色々な組み合わせが考えられますので、何れの組み合わせがより生産品質を高める結果になるのかをAI機能にて分析を行い、同情報を元に生産計画を作成するといった方向にもっていくことが出来ればベストになるかと思います。

2、様々な複合要因により不良が発生するケースを特定

3、間一髪で不良発生を免れたケースを特定

 このケースはサブタイトルにもあります通り最終的に不良は発生しておりませんので、わざわざ品質管理で取り上げることはないのではとも思えるのですが、考えようによっては不良の予備軍ということで少し条件が変われば不良になってしまう存在でありながら結果だけ見れば見逃されてしまうといういわゆる危険分子を特定する内容となります。特定方法としましては前項の複合要因の特定と似た形にはなるのですが、今までの生産実績を元にして不良が発生した際の様々な事象を洗い出した後に、同じような条件になっていながら幸いにも不良が発生しなかったケースを抽出する形となります。例を挙げますとAという材料を使用してBという製品を作る際にCという制作機械を連続して1時間以上使用すると不良が発生する可能性が高くなるという分析結果が出ている状態で、同じ状況になっていながら不良が発生していないケースを抽出して注意を促すという形になります。

3、間一髪で不良発生を免れたケースを特定

4、製作作業において時間がかかったり材料使用が必要以上に多くなるケースを特定

 このケースも前項同様不良要因の特定というよりも、不良かどうかを特定する内容なのですが、要は製作された品目自体は問題が無かったとしても、その制作をおこなう為にいつもの倍以上の時間を費やしていたりとか、材料をいつも以上に使っていたりとかそういった無駄が発生している作業と共に、なぜそのようなことが起こったのかという要因も特定することを目的としております。ですので品質管理というよりも能率管理及び原価管理の領域でもあるのですが、要因特定及び対策施行という流れは同じですので、同じ括りの中で処理をおこなうことにより作業効率を計ることが可能となります。このケースの特定については比較的容易でして、要は日々の生産実績の中からイレギュラーな状態を見つけ出すということで、作業時間であれば今までの作業実績の中から生産品目毎で1UNIT生産する為の平均時間を割り出しその値から大きくはみ出している実績があれば抽出をおこない、使用材料であればこちらも同様に過去の実績から平均使用量を算出して、同値を過剰に上回っているものをそれぞれ抽出し、あとは不良要因の特定と同様に何故そのような事態になったのかを様々な事象を元に推測して、対応方法についても提案をおこなう形となります。

4-1、製作作業において時間がかかっているケースを特定

4-2、製作作業において材料使用が必要以上に多くなるケースを特定

 ということで今回は品質管理システムにおいてAI機能をどのように活用すればより優れた結果が得られるかについてを説明させていただきましたが、次回も同じように社内の業務管理システムにおけるAI機能の最新の活用法について説明させていただければと考えております。

BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
住所:333 Lao Peng Nguan Tower 1, 17th Floor, Unit B1, SoiChaypuang,
Viphavadi-Rangsit Road, Chomphol, Chatuchak, Bangkok 10900
電話:0-2618-8310-1 ファクス:0-2618-8312 Eメール:toki@ksc.th.com
ウェブサイト:www.bkktoki.com

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