【タイ】IHIは4日、カーボンニュートラル(温暖化ガスの排出実質ゼロ)な低級オレフィン(多くの主要基礎化学品の原料となるエチレン、プロピレンなどの総称。包装材、発泡スチロール、ペットボトルといったプラスチック製品の製造に用いられる)合成技術の実証試験をタイの石油化学プラントで行うと発表した。
2021年度に受託した新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/CO2を原料とした直接合成反応による低級オレフィン製造技術の研究開発」の実証試験。タイの大手複合企業サイアムセメント傘下の化学大手SCGケミカルズ(SCGC)のナフサクラッカー(原油を蒸留させたナフサを800度以上の高温で熱分解させ、石油化学基礎原料のエチレン、プロエチレン、芳香族成分などを生産する設備)から排気ガスの供給を受け、そのガスから分離回収した二酸化炭素(CO2)とSCGCの他工程から発生する副生水素を利用して、低級オレフィン合成技術を開発する。
実証試験から得られた低級オレフィンを、既設商用プラントで製造された低級オレフィンと物性比較や互換性評価を行うとともに、評価結果をもとに、商用化に向けてオレフィンの合成条件および既設プラントとの統合条件を検討する。2024年度にCO2回収設備とオレフィン合成設備をSCGCのプラントに設置し、2026年3月まで実証試験を行う。