【タイ】タイ中央銀行(BOT)は、認可両替業者が顧客1人から購入できる外貨を1日あたり80万バーツ(400万円相当)に制限し、国境地域など指定区域では20万バーツに引き下げる措置を導入した。ウィタイ・ラッタナーコーン総裁は、外為取引の監督強化を「違法資金が暗号資産に転換されるのを防ぐ取り組み」と位置づけ、安定コイン取引の規制について証券取引委員会(SEC)と協議を進めていると述べた。テザー社のUSDTなどを対象とする新ルールが導入されれば、不自然な取引の抑制につながるとの見方を示した。
中銀は、本人確認(KYC)、顧客管理(CDD)、高度な確認(EDD)の基準を引き上げ、異常な取引パターンが見られる顧客への追加確認などを求める。金融業界全体で統一した安全対策を確立することが狙い。
タイ銀行協会は、「タイでは国境をまたぐ複雑なテクノロジー犯罪や詐欺が増加している」と指摘。2026年1〜7月の技術犯罪の通報件数は190万件超、被害額は90億バーツに達し、1日あたりの通報件数は902件まで減少したものの、「犯罪者が手口を巧妙化させて資金洗浄や痕跡隠しを続けているため、被害額は依然高水準にある」と述べた。今回打ち出した対策は、国際的な信頼を高めて(政府・金融セクター・民間企業が一体となって進める国家的イニシアチブである)「Reinvent Thailand」の実現に寄与するとした。
電子決済事業者の団体であるタイEペイメント協会(TEPA)は、電子決済の安全性を高めるため、基準の引き上げ、犯罪取引の困難化、迅速な対応の3点を優先すると述べた。国際基準に沿った厳格で実効性のある確認が必要であり、詐欺手口が変化するたびにアルゴリズムやシステムを迅速に更新することが重要だとした。
決済事業者は、加盟店との取引関係全体を通じて「KYM(Know Your Merchant)」の確認を強化し、消費者や利用者に対しても、本人確認やデータ提出などKYC・CDDの基準を引き上げる。TEPAは中銀に対し、資金の流れや異常行動の把握に役立つデータ提供を続けるほか、詐欺対策を強化するため「不正・リスク対策ワーキンググループ」の設置を計画している。



























