タイ人パイロット雇用危機に政府が対策 「Pay to Fly」規制の議論進む

【タイ】政府は6月16日、タイ人パイロットの雇用問題および有料で飛行経験を積む「Pay to Fly」制度について、関係機関と協議を行った。パッタラポン・パッタラプラシット副運輸相が議長を務め、タイ航空パイロット協会(THAIPA)のティーラワット・アンカサクンキアット会長らが出席した。

 ラリダー・プルートウィワタナー政府副報道官によると、タイ人パイロットの失業者数は1736人、商業パイロット免許(CPL)を保有しながら未就業のパイロットは1219人に上る。コロナ禍による航空業界の停滞、需給のミスマッチや雇用慣行の歪みなどが主な理由で、教育投資額に換算すると43億バーツ(200億円相当)が活用されないままになっているという。パイロットの過剰養成、外国人パイロットの採用、専門職に対する労働保護法制の不備、Pay to Flyによるパイロットへの負担の増大などが指摘されている。

 Pay to Fly は、CPLを取得したものの就職先を見つけられない若手パイロットが、航空会社に費用を支払って運航便に乗務し、飛行時間や実務経験を積む仕組み。教育費とは異なる「採用のための航空会社への金銭支払い」という構造が問題視されている。格安航空会社(LCC)の増加は本来需要を生むものの、機材調達方法、経験要件、航空業界の回復の偏りなどにより、若手の就業機会につながっていない例があると報じられている。

 THAIPAのティーラワット会長は、短期・長期双方の対策として、Pay to Flyの明確な規制、雇用条件と福利厚生の改善、タイ人パイロットの活用を義務づける法令の徹底、通報窓口の設置による内部告発者の保護、業界需要に合わせた養成数の管理などを提案した。ラリダー副報道官は、「運輸省は航空人材の育成および安全基準の確保を最優先に取り組み、各方面からの提案を踏まえて適切な対策を検討する」と説明。パイロット職の公正性を高め、職業へのアクセス格差を是正し、タイ航空産業の競争力向上につなげていく考えを示した。

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