【タイ】タイのオンブズマン(行政監察官)は、中部サムット・ソンクラーム県で偽装ココナツ・ウォーターの製造施設が摘発されたことを受け、抜本的な取り締まり強化と関連法規の早急な見直しを求めた。タイ・オンブズマン事務所(Office of the Ombudsman Thailand)は、現行制度の不備が消費者保護を損ない、ココナツ農家の信頼を揺るがしていると警鐘を鳴らしている。
同県内の2施設が4月8日に家宅捜索を受け、偽装品製造の疑いで操業者が拘束された。ココナツ価格の下落やココナツ水の偽装疑惑を調査していた担当オンブズマンは翌9日、「国民の強い関心事となっており、迅速な対応が不可欠だ」と記者団に述べ、緊急措置として検査頻度の引き上げや複数機関による合同チームの常設化を提案した。検査には食品医薬品局(FDA)、保健省医療科学局、県保健当局に加え、必要に応じて工業省の担当部局も参加すべきだとしている。
現行制度では、違反が疑われても即時の操業停止を命じられず、罰金にとどまるケースが多い点が「重大な弱点」と指摘されている。オンブズマン事務所は、より重い罰則の導入や、改善が確認されるまでの一時的な操業停止を可能にするため、関係規則の改正を急ぐよう関係省庁に求めている。
偽装ココナツ・ウォーターの問題は2023年後半から指摘され始めた。ココナツ価格が下落する中、「市場に本物ではないココナツ・ウォーターが流通しているのではないか」と農家の間で疑念が広がった。2024年に入ると、消費者からも「香りが不自然」「味が薄い」といった声が増え、偽装疑惑が徐々に表面化した。
今回摘発された2施設では、天然のココナツ・ウォーターを使用せず、水に香料を混ぜて味と香りを模倣しただけの液体を製造。栄養成分を含まない模造品で、商品表示と大きく乖離していた。製造環境も適正製造基準(GMP)を満たしておらず、食品法や健康関連事業の許可規定にも違反。無許可に近い状態での製造が常態化していた疑いがある。
























