【タイ】花王は、傘下のカネボウ化粧品が展開するグローバルブランド「KANEBO」の主力クリームを刷新したのを機に、アジア市場での展開を強化している。特に売上規模の大きいタイでは過去最大の投資を行い、9月にバンコク中心部の大型商業施設「サイアム・パラゴン」内のイベントスペースで体験型イベントを実施した。約9000人にサンプルを配布し、期間中の国内約60店舗の売上は前年の2倍以上に伸びたという。
背景には、タイ市場でのブランド浸透を図る狙いがある。花王は現地で生活者調査を行い、日本とタイで「希望」の捉え方に違いがあることを確認。これを踏まえ、ブランドメッセージや広告表現を現地向けに調整した。結果として、新規顧客は前年比約4倍に増え、購入者層では若年層の比率が14ポイント上昇した。
新製品発売前の8月からは、俳優らを起用した広告やSNS・屋外広告を展開。情報解禁時にはX(旧ツイッター)のトレンド1位となるなど話題を集めた。イベント終了時点で、サイアム・パラゴン店舗の売上は前年の9.5倍に達したという。
花王は、タイでの成果をアジア全域に広げる方針。現地で得た知見を活かし、今後も各国でのブランド浸透を進め、化粧品事業のグローバル戦略を加速させたいとしている。