田舎町の北部パーイに「イスラエル人が3万人」 タイ首相「明らかにデマ」

【タイ】有名観光地のタイ北部メーホーンソーン県パーイ郡を訪れるイスラエル人旅行者が、タイ人からの批判の的となっている。パーイの病院で暴れて国外退去に遭ったり、不法就労で摘発されたりしたイスラエル人旅行者のニュースが流れると同時に、「イスラエル人3万人がパーイを占領」「パーイはイスラエル人にとっての新たな約束の地」「パーイ警察署裏のシナゴーグの存在が占領の証拠」などといった噂が広まり、タイの各メディアがこぞって取り上げた。

 事態を知ったペートーンターン・チナワット首相は2月18日、「人口3万8000人のパーイに、どうしてイスラエル人が3万人もいるのか」と、噂を明らかなデマとしてバッサリ否定。3万人というのは年間でパーイを訪れるイスラエル人旅行者数で、1日に割れば80~90人しかいないと説明した。パーイで最多の外国人旅行者は英国人で、イスラエル人は2番目、次いで米国人、ドイツ人とされる。

 パーイ警察署裏のシナゴーグ(Chabad House Pai)も、タイ国内7カ所あるうちの1カ所で、純粋な信仰の場としてのみ利用されているとした。シナゴーグはパーイのほか、バンコク、東部パッタヤー(パタヤ)、北部チェンマイ、南部プーケット島、サムイ島、パンガン島にあるという。

 パーイでは2月6日、病院を訪れたイスラエル人4人が医師や看護師への暴言、備品の窃盗や破壊、院内での喫煙、携帯電話の勝手な充電、医療費踏み倒しなどと暴れまくって警察に取り押さえられた。4人はそれぞれ3000バーツの罰金を支払い、査証(ビザ)の失効を受けて13日に国外退去となった。また、レストランで歌手として不法就労していたイスラエル人も逮捕されている。

 このような騒ぎを知った一部のタイ人が誤解し、それをメディアが煽ったことで全国的なイスラエル人への批判につながった。ペートーンターン首相の説明に対しても、「外国人が落とす金が欲しいだけ。そのうち本当に乗っ取られる」と、事実には無関心といった声が聞かれる。

 パーイを訪れていたイスラエル人旅行者の一部は、批判を知って隣県のチェンライに移動していったという。パーイは外国人旅行者ほか、人気テレビドラマのロケ地ということから、タイ人にも好まれる観光地。

タイの各メディアがウェブサイトに掲載している、パーイの病院で暴れたイスラエル人

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