タイ外務省、国境問題で米国に説明文書送付 カンボジアは無反応

【タイ】タイ外務省は11月14日、タイ・カンボジア国境をめぐる緊張に関し、アヌティン・チャーンウィーラクーン首相がトランプ米大統領宛てに正式な説明文書を送付したことを明らかにした。米国からの照会に応じたもので、ワシントンのタイ大使館は米国務省と緊密に連絡を取り合っており、在タイ米国大使館も事実確認と情報交換を継続しているという。

 タイはカンボジアに対し、和平宣言違反に至った経緯について説明を求めているが、プノンペンからは謝罪や正式な回答は届いていない。外務省はこのため、宣言の履行停止措置を継続する方針を改めて示した。

 一方、国境を越えた詐欺組織対策についてタイ政府は、「詐欺撲滅は国家的課題」と位置づけ、領土内の地雷除去と詐欺組織の摘発という二つの主要任務は継続するとしている。「この問題はタイ・カンボジア間の二国間関係を超え、アセアン全体、さらには国際社会に関わる課題。カンボジアが国際的責任を果たすのであれば、国境問題とは切り離して対応すべきだ」と述べた。

 また、アヌティン首相による和平宣言の履行停止といった判断が国際的に不利に働くとの懸念に対して外務省は、「首相は現地視察の際に共同宣言の履行停止を説明しただけであり、タイが不利益を被ることはない」と反論。カンボジア側が有刺鉄線の切断や地雷の設置、挑発的な発砲など和平宣言違反を繰り返していることを挙げ、「タイは被害を受けた側であり、対応を示すのは当然だ」と強調した。

 タイ政府はすでに、共同宣言の立会国である米国とマレーシアに対しても状況を通報済みであり、国際的な理解を得る姿勢を示している。

11月10日に地雷に触れてけがを負った陸軍兵士 写真:タイ陸軍第2軍管区フェイスブックより

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