【タイ】タイ陸軍のブンシン・パートクラーン第2軍管区司令官(中将)が、カンボジアとの国境問題が起きている東北部スリン県パノム・ドンラック郡のクメール遺跡3カ所を積極的に参拝(訪問)するよう、タイ国民に呼びかけている。カンボジアに対してタイ領土であることを主張すると共に、地域社会をより発展させるためとしている。
参拝が呼びかけられている遺跡は、「プラサート・タームアン・トート」「プラサート・タームアン・トム」「プラサート・タークワーイ」。プラサート・タームアン・トートは国境から多少奥まった場所に残るが、プラサート・タームアン・トムは一帯の国境が未確定で、タイが実効支配。タイ軍兵士が非武装で警備にあたっている。プラサート・タークワーイも国境線上にあるとされ、参拝は陸軍の案内が必要。カンボジア側からも、兵士に引率された参拝客が訪れる。
プラサート・タームアン・トムは、グーグルマップでカンボジア領として示されており、第2軍管区は7月2日にも「法的に従う義務はない」と発表していた。同マップ上では、遺跡は「Prasat Ta Muan Thom Cambodia」と表記され、国境線も遺跡の数百メートル北側に引かれている。
ブンシン司令官は、これらの遺跡参拝(訪問)は、経済活性化や観光促進につながるほか、地元住民の収入のみならず士気の向上にもつながると述べた。同司令官は、ペートーンターン・チナワット首相(停職中)がカンボジアのフン・セン元首相と非公式の電話会談を行った際、「彼は向こう側の人間」と呼ばれた人物。発言に関するメディアからの質問には、「首相から電話を受け、『発言の真意を理解し、引き続き職務に専念する』と返すと、感謝するという言葉があった」と答えている。