【タイ】タイの複数メディアが伝えるところによると、東北部ウボン・ラーチャターニー県チョンボック一帯の衝突(銃撃戦)が起きた地点で6月8日午前10時、タイとカンボジアの両軍が協議を行った。カンボジア軍が部隊を後退させることで合意し、衝突のきっかけとなった(カンボジア軍が掘った)塹壕も埋める。
チョンボックに引かれたタイ・カンボジア国境は一部が未確定で、長年にわたって治安が不安定な状態が続いており、軍事的には「現状維持」で合意されている。両軍は部隊の移動、建設、掘削などに関し、相手への事前通告を必要とするが、5月28日に起きた衝突はカンボジア軍が通告なしに掘った塹壕がきっかけとなった。
カンボジアはこれまで強気の姿勢を見せていたが、タイ側が7日から国境の往来を制限し始めたためか、態度を軟化させた。国境通過地点の封鎖は伝えられていないが、多くの地点での開門時間の短縮、6輪以上の大型トラックの通過禁止、建築資材の輸送禁止、カジノ目的の越境禁止などが実施されている。外国人によく知られる東部サケーオ県アランヤプラテート郡の国境通過地点も、午前6時~午後10時の開門時間が午前8時から午後4時までとなった。
タイ政府は国境封鎖などの強硬策を打てずにいたが、国軍や国民からの非難が相次いだことで、四段階の措置を設けて第一段として今回の一部制限に乗り出した。事態の成り行きによっては、国境一帯での(カンボジア国内への)電力供給やインターネット回線の遮断もあり得るとしている。
カンボジア軍がチョンボックで実際に部隊を後退させているかについては、8日夜時点で伝えられていない。