【タイ】タイ最大野党プラチャーチョン党のランシマン・ローム副党首が2月21日、タイ警察入国管理局が導入した出入国管理システムが、容量限界で機能していないという実態を、自らのフェイスブックに投稿した。生体認証システムでありながら、実際には顔と指紋の画像を保存しているだけだという。少なくとも2024年から今日までの1700万人分の出入国記録は、(検証や照合などのための)情報を収集できておらず、同副党首は「犯罪者に朗報」と皮肉った。
現在の生体認証システムは2019年、21億バーツで導入。最大5000万人分の個人識別データを保存できる容量を誇るが、ライセンスが更新されず機能不全の状態だという。容量無制限のライセンス購入には5億バーツが必要。現在、30億バーツの予算で新たなシステムを開発中だが、稼働まで29カ月かかるもよう。
タイ国家安全保障会議事務所を交えた会議がこれまで7回にわたって催されたが、具体的な行動には至らず、入国管理局の警官らも実情を把握せずに使い続けていたという。問題を提起したランシマン副党首は、「国際犯罪組織がなぜこれほどまでに、タイ国内を自由に行動できるかを証明している」と非難している。