【タイ】タイ政府は5月9日、抗菌薬(抗生物質・抗生剤)が効かない薬剤耐性菌(AMR)の増加が深刻化しているとし、医療・動物・環境を一体で管理する「One Health」アプローチのもと、全国的な監視体制を強化する。
保健省医療科学局は、全国77県の141病院と連携し、薬剤耐性菌の検査データを継続的に収集。過去10年間(2015〜2025年)の監視結果で、アシネトバクター属(A. baumannii など)のカルバペネム系抗菌薬に対する耐性率が70%を超え、増加傾向が続いていることを確認した。カルバペネム系は「最後の切り札」とされる抗菌薬で、耐性が進むと治療手段が限られていくと警告している。
クレブシエラ属(K. pneumoniae) でもカルバペネム系への耐性が年々上昇しており、第三世代セフェム系抗菌薬に対する耐性率は35〜45%に達している。同局は、重症感染症の治療選択肢が狭まる可能性も指摘している。
大腸菌(E.coli) はカルバペネム系への耐性が比較的低いものの、セフトリアキソンやセフォタキシムなど第三世代セフェム系に対する耐性が高い水準で推移。これは、薬剤耐性が医療機関内にとどまらず、地域社会にも広がりつつあることを示しているという。
タイ政府はこのような事態を受け、抗菌薬の適正使用、感染予防、検査体制の強化に加え、人・動物・環境を包括的に捉える「One Health」の考え方に基づき、関係機関が連携して耐性菌の増加を抑制していくと発表した。耐性菌の拡大を防ぐには国民の協力が不可欠だとし、病気治療など「症状が改善しても、抗菌薬は医師の指示どおり最後まで服用し、自己判断で中断や他人への譲渡をしないこと」を強く求めた。
























