東京で売春を強要されたタイ人12歳少女、タイ警察長官が早期送還を指示

【タイ】東京都文京区のマッサージ店で働かされていたとして保護された12歳のタイ人少女をめぐり、タイ警察のキティラット・パンペット警察長官は11月7日、少女を早期にタイに送還するよう指示した。少女は現在、東京都内の児童相談所にあたる施設で保護され、食事、医療、心理的支援を受けている。

 キティラット警察長官は記者団に対し、「タイ人母親が娘を日本のマッサージ店に連れて行き、警察に発見された。現地で調査が進められている」と説明。人身取引の事案に該当する可能性が高いとの見方を示した。母親は台湾・台北に滞在しているとみられ、国際的な関与の有無も調べている。

 この事件では、警視庁が文京区湯島の店舗経営者、細野雅之容疑者(51)を逮捕。少女は6月下旬に観光ビザで母親と来日後、店舗に置き去りにされ、1カ月間にわたり売春を強要されていた。9月に東京出入国在留管理局に自ら駆け込み、「タイに帰りたい」と訴えたことで発覚した。日本での捜査によれば、少女は60人ほどの客に応対させられ、売り上げは62万7000円に上ったが、金銭は経営者や母親側に渡っていたという。

 タイ警察は、帰国後に多職種チームによる聴取を行い、事実関係を精査する方針。国外での犯罪に該当する場合は、検察総長に報告して法的措置を検討する。まずは日本からの送還を最優先とし、証拠収集を進めるとしている。

 一方、タイ社会開発福祉省の幹部も日本側と協力し、被害者支援と加害者の摘発に向けた取り組みを強化する構え。タイのメディアは、「今回の事件は、日本で摘発された人身取引事案として最年少の被害者とされ、両国で大きな衝撃を与えている」と報じている。

キティラット警察長官 写真:POLICE News Varieties

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