【タイ】政府は、バンコク首都圏の全都市鉄道を対象とした共通乗車システムを2027年1月1日に導入し、運賃を1回当たり17~45バーツに設定する。運賃差額を補填するため、年間約50億バーツ(234億円相当)の政府補助金を投入する計画で、11月の閣議承認を目指している。
ピパット・ラチャキットプラカーン副首相兼運輸相は9月16日の共通乗車制度政策委員会で、中央精算機関(CCH)の運営事業者として国営クルンタイ銀行を選定したと明らかにした。同行は資金管理や運賃差額の精算など、システムのバックオフィス業務を担当する。
同委員会では、運賃を17~45バーツとする制度案に関する委員会告示案や省令案について協議したが、専門委員や関係機関から法的課題や官民連携(PPP)契約の改定に関する懸念が示された。このため、運輸交通政策企画事務局(OTP)が意見や法的論点を取りまとめ、18日までに報告することになった。翌週に再度会合を開き、内容を確定したうえで閣議に提出する。
閣議はすでに17~45バーツ運賃政策を原則承認しており、2027年1月からの導入に向けた根拠が整っている。制度の承認は、2029年に失効する高架鉄道(BTS)グリーンライン中核区間のコンセッション契約終了まで毎年更新する形とし、その後に長期的な制度設計を改めて検討する。
通常運賃が45バーツを超える利用者については政府が差額を負担する。一部路線では運賃が60バーツ程度になるケースも想定されるが、補填の対象は利用者負担分であり、鉄道事業者への直接補助ではないとしている。
共通乗車制度基金には十分な積立金がないため、政府は中央予算から年間約50億バーツを拠出するよう求める方針だ。ただ、最終的な必要額は増減する可能性があるという。利用者数は約20%増加すると見込まれており、民間事業者との協議を通じて増収分の一部を基金へ還元する仕組みも検討する。予算措置についても11月に閣議へ提案する見通し。
一方、制度開始まで残り約3カ月半となる中、全路線でEMV(Europay・Mastercard・Visa)対応改札機の整備を急ぐ必要がある。グリーンラインについてはバンコク都庁(BTS)が、全改札機の更新には1~2年を要すると説明している。このため委員会は、BTSを運営する大量輸送システム社(BTSC)がラビットカードにEMV機能を組み込む方式を採用することで合意。これによって2027年初めの制度開始時点から、EMV対応ラビットカード1枚で全都市鉄道路線を利用できるようにする。詳細については今後、クルンタイ銀行との協議を進める。
運輸省は将来的に、都市鉄道全線でEMVカードの利用が可能になった段階で、同システムをバンコク大量輸送公社(BMTA)の路線バスや旅客船にも拡大する方針。
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