タイ中銀、中小向け融資6000億円増を見込む 2つの支援策で信用供与を後押し

【タイ】タイ中央銀行(BOT)は、中小企業向け融資を後押しする2つの支援策により、来年末までに中小向け融資が1300億バーツ(6000億円相当)増加するとの見通しを示した。現時点では、大企業向け融資が4.8%増と回復する一方、中小向け融資は依然として縮小している。

 ウィタイ・ラッタナーコーン総裁は同行東北事務所が開催したセミナーで、銀行全体の貸出は増加に転じたものの、中小向け融資はまだ回復していないと説明。ただ、来年にはプラス成長に戻るとし、その一因として「SMEクレジット・ブースト」および「SMEセキュアード・プラス」の2制度の導入を挙げた。

 SMEクレジット・ブーストは、信用保証を活用して資金調達を容易にする仕組みで、これまでにおよそ500億バーツの融資が実行された。制度が成功すれば、中銀は中小企業信用保証公社(TCG)が運営する信用保証制度の見直しを政府に提案する。SMEセキュアード・プラスは、担保要件を緩和してより幅広い資産を担保として認めることで融資を受けやすくする制度で、金融機関に対して担保要件の一時的な緩和を認めている。

 世界的な逆風や国内の構造的な課題はあるものの、タイ経済は改善を続けているとして、2026年のGDP成長率見通しは従来の1.5%から2.3%に引き上げられた。ただし回復は地域差が大きく、いわゆる「K字型」の様相を呈していると指摘されている。

 東北地域の家計所得は年間10万バーツと全国平均の26万バーツを大きく下回り、企業向け融資も全国では4.8%増加しているのに対し、同地域では10%ほど減少している。不良債権(NPL)比率は平均10%と、銀行全体の平均3%を大きく上回る。

 一方、東北は農業生産基盤が大きく周辺諸国との連携にも優れ、国内の中小企業のおよそ22%が集中するなど、長期的な成長に重要な地域とみなされている。ウィタイ総裁は「生産性の向上は容易ではないが、付加価値の高い製品を生み出すことが競争力と長期成長の鍵になる」と述べた。

ウィタイBOT総裁 写真:政府貯蓄銀行(GSB)

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