【タイ】政府は、中東情勢の緊迫化に伴う原油高を受けて導入していた国内燃料価格の上限措置を撤廃し、市場原理に基づく価格形成へと方針を転換する。エークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相が3月25日、テレビ番組で明らかにし、「価格抑制策は市場のゆがみや買いだめを招き、財政負担も拡大していた」と説明した。
主に輸送用に使用される軽油価格について政府は3月2日、1リットルあたり33バーツ以内に抑制すると発表したが、石油燃料基金の支出が3週間で200億バーツ(1000億円相当)に達し、1日あたりの補助額が10億バーツという計算になった。補助負担は軽油が1リットルあたり27バーツ、ガソリンが同9.70バーツと膨れ続けており、現在は1日あたり25億バーツ規模の支出を強いられている。
エークニティ副首相は、基金による補助を終了して今後は、燃料に課している物品税の引き下げなど、別の手段で価格高騰への対応を検討すると述べた。アヌティン・チャーンウィーラクーン首相は同日、記者団から政策転換に対する国民の反発について問われたが、「家計への影響はある」と答えるにとどめた。
政府は一方で、エネルギー価格高騰の影響を直接受ける層に対し、的を絞った支援策を講じる方針を打ち出している。低所得者、運転手、農家、漁業者、建設業者などが対象となる。年収10万バーツ未満の人々には、食料、電力、調理用ガスの購入負担を軽減させるため、毎月の現金給付を行う予定で、対象者は1340万人に上る。給付額については財務省が検討を進めている。
公共交通や物流分野では、トラック運転手36万人、公共交通の運転手3万人に燃料補助を行うほか、乗り合いバン、タクシー、バイクタクシーの運転手も支援対象とする。
農業分野では、商務省が肥料価格の引き下げ策を準備。タイで使用される肥料のおよそ半分は中東からの輸入に依存しており、現在ホルムズ海峡の封鎖によって供給が滞っている。漁業者には、通常の軽油より1リットルあたり5バーツ安い、パーム油を20%混合したB20軽油を供給する。
公共事業を請け負う建設業者に対しては、燃料や建設資材の価格上昇分を補填し、工事の中断や遅延を防ぐ。製造業やサービス業の事業者には、資金繰りを支えるための低利融資を提供する方針だという。
























