【タイ】タイ損害保険協会(TGIA)は、自動車修理にかかる期間の統一基準を導入し、保険金支払いの効率化と損害保険業界への信頼向上を図る取り組みを進めている。協会はこのほど、32社の損害保険会社と覚書(MOU)を締結し、修理期間に関する共通の指標を設けることで合意した。
新たな枠組みは、代車費用など「使用不能損害」の補償期間を、全社で明確かつ一貫性をもって算定できるようにすることを目的としている。TGIAは「評価基準を標準化することで、適切な補償期間を判断しやすくなり、使用不能損害をめぐる紛争や苦情の減少、顧客満足度の向上につながる」と発表した。
同枠組みは、公平で現実的な期間算定を行うための3つの要素で構成される。第1に、修理内容や損傷の程度に応じて必要な作業時間を評価する点で、損傷の深刻度により作業の複雑さや所要時間が異なることを踏まえる。第2に、交換部品の点数を考慮し、部品数が多い場合は修理期間が延びることを反映させる。第3に、全国の標準的な修理工場の実績データに基づく実際の修理日数を取り入れる。これらを組み合わせることで、理論値ではなく実際の修理現場の状況を反映した、実務的で技術的裏付けのある算定方法になるという。
TGIAによると、新たな基準は自動車保険を扱う加盟各社との協議を重ねて策定された。内部組織の自動車保険委員会は、全国の修理工場の実データを共有し、各社から寄せられた課題や意見を取りまとめた。こうした共同作業により、業界の実態を正確に反映し、保険会社と契約者の間で生じやすい認識のずれを解消する内容に仕上がったという。
今回の覚書は、損害保険業界がサービス水準の向上と保険金支払いのガバナンス強化に取り組む姿勢を示すもの。TGIAは「明確、公平、実行可能といった修理期間の基準を採用することで、保険金支払いの迅速化、苦情の減少、全国のドライバーからの信頼強化につなげる」としている。



















