【タイ】スイス・ネスレのタイ現法「ネスレ(タイ)」は5月30日、タイでのネスレ商品を巡る一連の騒動で、タイで30年パートナーだったタイ財閥の「マハーギッシリ家」に対し、5億7700万バーツ(25億円相当)の損害賠償を求める裁判を起こしたと発表した。マハーギッシリ家が4月3日に起こした訴えで、バンコク民事裁判所(ミンブリー)がネスレ(タイ)に業務一時停止を命令、解除されるまでの8日間で被った損失分としている。
双方の代理人は5月28日、タイ知的財産・国際取引中央裁判所による調停で合意を試みたが失敗。ネスレ(タイ)による損害賠償請求に至った。ネスレ商品は数カ月の差し止めなら在庫で対処できると報じられていたが、一部ではベトナムからの自社ブランド製品の輸入で補填していたもよう。現在は通常の流通に戻っている。
ネスレは1990年、マハーギッシリ家との折半で「Quality Coffee Products Co., Ltd.(QCP)」を設立し、30年にわたってネスレ商品を販売してきたが、2021年に自社による業務展開に乗り出し、マハーギッシリ家との関係を急激に悪化させた。以降、訴訟合戦が続いて泥沼の様相を呈し、今回の差し止めという場当たり的な裁判所の命令もあって、事態はさらに混乱した。