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タイ進出日系企業の業況感「引き続きマイナス」 バンコク日本人商工会議所調査
- 2025/1/29
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【タイ】バンコク日本人商工会議所(JCC)が2024年11月26日から12月18日にかけて実施した「2024年下期日系企業景気動向調査」の回答結果がまとめられ、2025年1月28日に発表された。前期比で業況が「上向いた」から「悪化した」を引いた業況感DIは、2024年上期実績「マイナス21」、2024年下期見通し「マイナス11」、2025年上期見通し「プラス6」だった。回答企業数は、会員企業1,664社の33.6%にあたる559社。
2024年6月発表の調査では、2023年下期実績「マイナス17」、2024年上期見通し「マイナス11」、2024年下期見通し「プラス9」という回答結果になっていた。2024年下期見通しは、「輸出の回復による好影響が一部で見られたものの、国内の耐久財消費が不振」という要因で、引き続きマイナスとなった。2025年上期は、輸出のさらなる回復や国内の耐久消費財の回復などへの期待から、マイナス11からプラス6に上向く見込み。
設備投資は2025年度、「投資増」を見込む企業が20%、「横ばい」が48%、「投資減」が16%。全体的に投資欲が強くないことが明らかになった。
2025年度上期の輸出動向は、「増加」を見込む企業が24%、「横ばい」が62%、「減少」が13%。前回調査からの横ばいが続いている。
今後の有望市場は「インド」が49%でトップ、次いで「ベトナム」で44%。前回調査から順位が入れ替わった。3位以下は「インドネシア」28%、「米国」20%、「マレーシア」17%、「日本」15%の順となっている。
業務計画におけるバーツ/ドルの設定為替レートは、「35.0以上35.5未満」のレンジに入る回答が全体の21.3%を占めて最多。次いで「34.0以上34.5未満」が17.1%。中央値は「34.5」。前回調査よりバーツ高に振れた。
業務計画における円/バーツの設定為替レートは、「4.0以上4.1未満」のレンジに入る回答が全体の20.7%を占めて最多。次いで「4.2以上4.3未満」21.6%となった。中央値は「4.2」。前回調査でも、「4.0以上4.1未満」が30.8%で最多、「4.1以上4.2未満」が21.6%だった。
経営上の問題点として挙げられたのは、複数回答の合計で「他社との競争激化」が66%で最多となった。次いで「総人件費の上昇」42%、「国内需要の低迷」41%、「原材料価格の上昇」35%。「為替変動の対応」34%との回答になった。
タイ政府への要望としては、複数回答の合計で「景気対策の促進(消費喚起)」が39%を占めて最多、次いで「大気汚染対策の実施」22%、「金融政策の安定化(為替・金利)」21%、「交通インフラの整備」21%、「景気対策の推進(金融支援)」21%となっている。
会員企業が最近改善したと考える「投資環境の改善(政策への評価)」は、複数回答の合計で「交通インフラ整備」が28%を占めて最多。以下、「行政手続きの電子化」15%、「労働許可証(ワークパミット)、査証(ビザ)の発給に関する問題」14%と続いた。
2024年に実施された「最低賃金引き上げが与えた影響」という質問に対しては、「影響は限定的だった」が49%で最多、「影響はなかった」が41%、「影響は大きかった」が7%という回答となった。
「最低賃金引き上げへの対応」としては、「従来賃金を維持」と回答(複数回答)した企業が36%、次いで「最低賃金を超える従業員の賃金の引き上げ」が29%、「最低賃金まで引き上げ」が27%となった。ただ、その後に「人件費以外の費用の抑制」「新規雇用の抑制」「人員の削減」「売上コストに転嫁」という回答が続いており、抑制の傾向も見て取れる。
「賃金が大幅に上昇した場合に見込まれる影響や対応」という質問に対しては、「人件費以外の費用の抑制」という回答(複数回答)が55%で最多だった。以下、「新規雇用の抑制」43%、「利益の減少」40%、「人員の削減」35%と続いた。
製品・サービスの競合状況に関して「現在、競合が激しくなっている競争相手」という質問では、「タイ国内で中国企業」という回答(複数回答)が全体の43%を占めて最多となった。次いで、「中国企業からの輸入」43%、「タイ国内で日系企業」37%、「タイ国内でタイ企業」34%となった。
「将来、競合が激しくなると想定する競争相手・分野」という質問に対する回答は(複数回答)、「タイ国内で中国企業」が53%で最多。次いで、「中国企業からの輸入」40%、「タイ国内でタイ企業」34%、「タイ国内で日系企業」31%だった。
「新政府が喫緊に取り組む10政策のうち期待する政策」についての質問への回答は(複数回答)、「自動車ローンと住宅ローンの再編を実施し、債務問題を解決する」政策への期待が69%を占めて最多となった。次いで、「エネルギーコストと公共料金の引き下げ、直接電力購入契約などの規制を整備する」が45%、「外国企業との不公平な競争から中小企業を保護・支援する」が21%だった。