〈タイ業界事情〉タイにおけるERPシステム導入に伴うトラブル事例と解決方法 BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.

難波 孝次 氏 Managing Director

 弊社はタイの地で20年間当地の日系企業様に対してERPシステムの導入から運用までをサポートさせていただいておりまして、その中でよく耳にしたものや実際に経験した当地ならではのトラブル内容を元にその要因と解決方法について今回は説明させていただきたいと思います。

タイにおけるERPシステム導入に伴うトラブル事例と解決方法

1)ERPシステムを導入してはみたものの、導入業者のサポートの問題でごく一部の機能しか使用しないまま放置されている。

要因:

 よく聞く話としては、ERPシステム自体は欧米の有名なシステムを導入したのだが導入を担当した業者がタイローカルの会社で、サポートを頼んでもその業者のキャパシティの問題なのか能力的な問題なのかは定かではないが、こちらが思っているようなサポートを受けることが出来ないため、システム内の各機能を使いこなすことが出来ない。

解決方法:

 業者サイドの問題で、しかもタイローカルの会社であればなかなか日本人マネージャーが直接コントロールをするのは難しく、ただかなりの費用をかけてシステム導入をおこなわれているので、システムそのものを入れ替えるのはなるべく避けたいとのことであれば、そのERPシステムをサポートできる別の業者を探してみるというのも一つの手段ではあります。

2)ERPシステムが、タイの税制やタイ特有の取引形態に対応していないため、システム外でのEXCEL等による管理作業が多くなってしまっている。

要因:

 この問題も前項と同様、欧米もしくは日本製のERPシステムを導入したケースに多く、システム自体もしくはサポートをおこなう業者サイドの問題で、システムにカスタマイズを加えることが難しいことから、必然的にシステム外の作業が多くなってしまう。

解決方法:

 業者サイドの問題であれば、前項と同様業者を変えるということも有効ですが、システム自体の問題でカスタマイズが出来ないとのことであれば、同システムにデータ連携をおこなう形のサブシステムを導入することで、解決を図るという方法もあります。

タイにおけるERPシステム導入に伴うトラブル事例と解決方法

3)部門ごとで別々に管理システムを導入しているため、システム間のデータ連携がおこなわれず同じようなデータをシステム毎に何度も入力する必要があり、またシステム毎で異なった結果が出力されるという現象が発生してしまう。

要因:

 別々の管理システムを導入される要因としましては、よくあるケースが日本の親会社さんで使用されているシステムをそのまま導入した後、会計システムやINVOICEの発行に伴う販売管理システムについては前項と同じ要因でローカルの別システムを導入せざるを得ない状況となり、また在庫管理システムについてもBOI申請の絡みでこれまた別のシステムを導入されるという後付けでシステムが次々に増えていってしまうケースです。

解決方法:

 ベストな方法としては全てのシステムを統合したERPに全面的に切り替えるという形ではありますが、その場合導入費用とシステム変更に伴う社内の労力はかなり大きなものとなることが予想されます。このため、先ず各システムの業者さんにシステム間のデータ受け渡し業務の作成可否を確認して、こちらも費用との相談ということになりますが(最終的に全面的に入れ替えたほうが安価というケースもありますので)可能であればシステム間の受け渡し業務を作成してデータの多重入力を無くすところから進めていく形が良いかと思います。

4)システム導入前の事前調査では、それほど多くのカスタマイズを予定していなかったが、実際に導入してみると現実の業務とは乖離(かいり)している部分が多く、結果的に様々なカスタマイズが必要となることが分かった。

要因1:

 ケースとして多いのが、事前調査の段階では日本人マネージャーのみで打ち合わせをおこないその際にはローカル担当者の意見を組み入れず、社内業務とシステムにて想定している業務内容が異なっている場合は社内業務の方をシステム側に合わせる方向で検討をおこなう。ところが、実際に導入してみるとローカル担当者よりこのままでは使えないとの反発を受けカスタマイズをおこなわざるを得なくなるという事態となる。

解決方法1:

 ケースバイケースになるかとは思いますが、先ず本当にカスタマイズが必要な項目がどれだけあるのかを見極める必要があります。ローカル担当者の立場からすれば、システムを導入することにより現在の作業が楽になることを期待しますが、前述のように社内業務をシステム側に合わせるとなりますと、逆に現行の作業を省力化することが出来ないまま、システム入力作業のみが増えてしまうという現象が発生してしまいます。とはいいましても、ではローカル担当者のリクエストを全て実現する必要があるのかといえばそうではなく、具体的には担当者からすれば現在作成している管理レポート等については、システム化の後もそのままのスタイルで使用されたいとの依頼が出てくると思いますが、そのレポートの内容をよく調査してみますとシステムから出力されるものと全く同じではないものの、例えば2つのレポートを組み合わせれば同じような出力結果が得られるといったケースはよくあります。その場合カスタマイズを実施した際の費用対効果について担当者に説明をおこない理解してもらった上で判断をおこなう必要があるでしょう。

要因2:

 他によくあるケースとして、実際に運用してみるとシステムが対応していないようなイレギュラーな取引が存在しており、システム側で対応するとなるとカスタマイズが必要になってくるということがある。

解決方法2:

 単純に考えますと、現行の取引形態にシステム側が対応していないということであればシステムをカスタマイズせざるを得ないという結論となりますが、よくあるケースといたしましては、取引先さんからの要求により特別な書類が必要になったり、変則的な処理をおこなわざるを得なくなっているという状況です。ところが取引先さんと交渉してみると実はそれほど重要なものでもなく、システム標準の処理や書類でも問題なく受け付けてもらえるという結果になることもありますので、こちらも前項と同様本当にシステムのカスタマイズをおこなわないといけないのかをよく吟味する必要がございます。

 上記はあくまでもごく一部のケースであり、この他にもタイの地でERPシステムを運用していく際に発生するトラブルは様々なものがございまして、中には実際にシステムに対して大掛かりなカスタマイズが必要になるケースも少なからず出てまいります。

 弊社のERPシステムは当地で開発したもので、また開発自体も弊社自身でおこなっておりますので、あらゆるカスタマイズをおこなうことが可能となっております。このため、もし現時点で上記のような問題を抱えられている方、若しくは問題発生が目に見えているのでシステム導入に二の足を踏まれている方がいらっしゃれば、一度ご相談いただけますでしょうか。

BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
住所:333 Lao Peng Nguan Tower 1, 17th Floor, Unit B1, SoiChaypuang,
Viphavadi-Rangsit Road, Chomphol, Chatuchak, Bangkok 10900
電話:0-2618-8310-1 ファクス:0-2618-8312 Eメール:toki@ksc.th.com
ウェブサイト:www.bkktoki.com

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