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〈タイ業界事情〉会計システムに対するAI活用について BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
- 2022/1/6
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難波 孝次 氏 Managing Director
会計システムに対するAI活用について
これまで社内の業務管理システムにおいてどのようにAI機能を利用するかという点について、色々と話をさせていただきました。ただ社内の業務管理システムでAI機能を使う機会と言えば生産計画の立案ですとか来年度の予算算出ですとか、そういった予測制御が必要な機能に限られて、実績データの積み上げとなる会計システムとは縁遠いもののように思われがちです。そこで今回はこの会計システムにおいて、如何にAI機能を活用するかというお話をさせていただければと考えております。
とは言いましても、通常業務管理システムと連携されている会計システムでは、日々のINVOICEデータや在庫データ、それから入出金のデータ等は販売管理や在庫管理等の各々の管理システムに入力されたものがまとめて送られてきますので、そこにAI的な要素が入り込む余地など無いように思われます。それでは観点を少し変えてみまして、会計システムの運用について現在何か問題になっていることとか、もう少し改善した方が良い事項をAI的な手法を採用することにより解決できるかどうかについて考えてみます。
このタイの地においてよく耳にする会計システムの問題点として、会計の締めつまり各月の会計レポートが確定するのが遅いというものがありまして、月の中旬位に出て来るのはまだ良い方で酷いときには月の終盤になってようやく前月の財務諸表が出て来るという笑えないような話もあります。で、何故そのようなことが起こるのかといえば、1つには単純に入力すべきデータが上がってくるのが遅いという問題で、これが社内のデータ、例えば各社員さんが前受け金や交通費の清算を中々おこなってくれないとか、そういった理由であれば社内の運用を改善しない限り、いかにAIとは言え交通費の金額を予測して作成することなどは出来ません。それに対して社外のデータ、特に問題になるのが輸入諸経費関連で、例を挙げますと月末に輸入をおこなった取引に対する関税等の諸経費が乙仲業者さんから上がってくるのが翌月の中旬になったりとかというのはよくある話です。厳密な意味での原価管理という意味では、輸入をおこなった際に発生した諸経費については関連する輸入品の在庫原価に載せた形でおこなうべきなのですが、ただそれを待っているといつまで経っても財務諸表が出来上がらないというジレンマを抱えてしまいます。そこで通常は会計処理としては翌月に上がってくる輸入諸経費は翌月分の経費としてとりあえず当月の数字を確定した後、個別原価については会計とは別に管理をおこなうという手法を採用されることも多いです。
ということで中々AIの話まで行きつきませんが、もう少し会計システムの問題点について考えてみますと、前述のデータ遅延の内容と少し絡んでくるのですが、会計処理の根本的な問題として処理をおこなうタイミングが集中してしまうというものがあります。どういう事かと言いますとINVOICEデータや在庫データについては最初にお話させていただいたように各業務管理システムから受け渡されることが多いかと思いますが、データを受け渡すには当然ながら各システム内で数字が確定する為の月次処理がおこなわれた後ということで、タイミング的には翌月の初旬に様々なデータが会計システムに流れ込んでくる形となります。その他にも会計システムのみで発生するデータとして、給与関連や固定資産に対する減価償却算出、業務管理システムには入力されない諸経費や税金関係、または勘定科目の振替等の処理が発生しまして、それらは何れも月末から翌月月初に集中するケースが多いのではないでしょうか。
この処理タイミングが集中する問題については、色々なところで処理のおこなわれた社内の管理データが最終的に会計システムに集まってくるというの性質上避けられないものではあるのですが、それではこの問題を解決する方法としてはどういったものがありますでしょうか。一つにはシンプルな手法ですが、データ入力の省力化を図るというものがあります。よくある手法としては会計伝票を入力する際の勘定科目をパターン化してしまうというやり方は割と効果的で、具体的にはタイにおける勘定科目は日本よりもかなり細分化されておりまして、普通の会社さんでも数百種類程度の科目が登録されているかと思います。またそれに加えて損益部門ごとでの管理が加わりますと、会計伝票を入力する度にそれら勘定科目と損益部門との数多くの組み合わせの中から該当のものを探し当てるのは結構時間を要しますし、間違いの元にもなるでしょう。そこであらかじめ各取引ごとに損益部門と勘定科目とのパターンを登録しておいて、先ず取引パターンを選ぶと各勘定科目が自動的に表示されるので、後は科目毎の金額を当てはめていくという方法を採用している会計システムは結構あるかと思います。
ただ、この方法にもデメリットというものはございまして、先ずは当然ではありますがあらかじめ取引パターンを登録しておかないと使えない訳で、またこのパターン登録はかなり社内の会計情報を熟知している人でないとおこなえないという点があります。それから、色々なケースを想定しますとそれらの全てをパターン化するのは大変で、結局数パターン程度しか使いこなせていないという結果となってしまいます。
そこで、ようやくここでAIの話になる訳ですが、あらかじめ取引パターンを登録しなくても良いようにすればどうでしょうか。具体的には今まで入力された会計伝票のデータをAI機能を用いて自動解析して、月中にはこういったパターンの仕訳が必要になり、月末にはこういったパターンの仕訳が必要になる。更には半期ごと期末ごとの特別な仕訳だとか、そういった仕訳パターンを自動で抽出して、入力しないといけない日が近くなると入力担当者にメールが送られて、そのメールに付いているリンクアドレスをクリックすれば、関連会計伝票の画面が勘定科目付きで表示され、あとは金額を入れこむだけにしておけば、入力忘れも発生しませんし、かなりの省力化になるのではないでしょうか。
また、前述のように似たような取引でも月によって微妙に選択される勘定科目が違うこととかもありますでしょうから、そういったケースでは過去データを元に候補科目を使用頻度順に選択出来るようにもしておけば、入力ミスも少なくなりますし、数百種の勘定科目から選ぶよりははるかに楽になるかと思います。
あと、このAI機能を使用することによりタイにおける会計システムのもう一つの問題点についても解決が図れるというメリットもついてきまして、この点については次回に詳しく説明させていただけますでしょうか。
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