岡野 孝治 氏 President

日本、中国、タイでの実績多数 日本建築技術を活かした空間づくり

日本の技術を世界に、中国でも10年以上の実績

――御社概要をお聞かせください

 福孝工務店は京都で1992年創業。新築、リフォーム、エクステリアなどの設計施工を承っているほか、3DCGによる内観・外観パース制作も手がけています。

 中国には2002年に進出。2003年から本格的に海外支援事業に携わり、施工品質向上の実現や顧客満足度の向上のマネジメントを手がけています。パナソニック系列の地場内装会社と提携し、例えば日本の技術である石膏ボードによる内壁の設計施工を指導したり、3DCGといったコンピュータグラフィック部門を立ち上げたりしています。

 中国では10年以上事業を継続してきましたが、建設業界の低迷を受けて新たな市場の開拓に乗り出すべく、タイに注目。2014年4月にタイ現法の設立となりました。

 もちろん中国拠点は健在で、特にコンピュータグラフィック部門は日本からのオフショア業務も承っています。中国は人口が多い分だけIT(情報技術)も発達、3DCGは高品質な割には安価です。CADセンターを中国に確保するゼネコンも多く、業界自体が設計図よりCG制作に積極的で、CGでイメージした通りの設計が好まれる傾向があります。

――タイ現法の事業内容は?

 日本や中国と同様、建設に関わること全てです。プラニングやプレゼンテーションから始まり、設計施工まで手がけます。タイではオフィス、飲食店やマッサージ店などの店舗関係、既存住宅の解体と建て直し、工場内オフィスなどが多く、日系企業と日本人のお客様がほとんどです。工場はオフィススペースのみならず、全体も可能です。

 タイは幅広い業界で大量の中国製品が輸入されており、品質も一昔前と比べれば格段に向上しています。建材も同様で、中国での事業経験が長い弊社にとって有利な市場です。日系企業というのは海外拠点同士のつながりが強固で、中国のお客様からタイの仕事をご紹介いただくことも多く、昨年秋口ぐらいから事業が本格化してきました。

――例えば前述のような内壁というのは中国やタイで普及する可能性はあるのでしょうか?

 内壁には通常、防音断熱といった効果を求めます。冬場は室内を保温します。中国では親日家の方たちを中心に受け入れられていますが、一般的には「部屋が狭くなる」という理由で、内壁というよりむしろ外壁での断熱処理が好まれます。

 タイは高温多湿の国ですので、内壁はむしろ逆効果です。内壁で室内を保温するのではなく、コンクリ壁で涼しさを醸し出す国です。もとより、日本は手間が材料より高い国ですが、中国やタイはその逆です。日本の技術の提案も市場の見極めが必要です。

 タイで可能な提案は、例えば窓ガラスの二重化です。空調で室内の温度を下げ、コンクリの壁で涼しさを確保までは正しいのですが、窓ガラスが大きいために外気の熱を室内に通してしまいます。最近の建物は窓が大きめですのでなおさらです。そのような窓を二重ガラスにすれば、光熱費の経費削減や環境保全への貢献が実現できます。

タイのみならず周辺諸国での受注も増加

――昨今のタイの景気をどう読まれていますか?

 過去数年と比べれば不況感は否めないのでしょうが、緩やかであっても右肩上がりの成長を続ける、日本よりはるかに将来への期待値が高い国です。景気が落ち込んでいるとはいっても、タイは失業率が非常に低く、人々には仕事に対する緩やさが感じられます。転職率は中国より断然高いでしょう。弊社タイ現法も人材確保に苦労しています。

 日本で建設業界が活況なのは関東一帯と東北地方だけです。2020年の東京五輪の後も活況が続くと期待する人がどれだけいるでしょうか。そのような意味でもタイは、「将来がより期待できる進出先」であり、選択肢としてはトップクラスです。

――その分だけ同業他社も多いと思いますが?

 弊社タイ現法の設立もそうですが、この1―2年で数多くの日系の建設会社や内装会社がタイ現法を立ち上げています。弊社もお客様からの相見積が増えています。その中での弊社の特徴は、現場管理の経験者が揃っているという点です。「日本建築技術を生かした住空間ソリューション」のための知識と実績です。

 タイでも、「仕事にはそれなりの費用が必要」と理解してくださる方々が多くいらっしゃいます。日系同業他社が多いとはいえ、人口に対しての密度はそう高くありません。

――今後の事業展開など

 まずは安定受注を目指します。例えば、工場は年間を通して建設メンテが必要な建物ですので、そのようなソリューションを提案していければと思っています。

 最近はタイのみならず、周辺諸国からも仕事のお問い合わせを受けるようになりました。昨年はマレーシアやミャンマー、今年はインドなどです。特にインドは仕事が今後も続く期待があり、順調に進めば来年など近い将来、インド事務所の開設もあり得ます。同国には日系ゼネコンが多く進出していますが、内装会社はまだまだ少ないのが実情です。現地の日系企業は地場業者に頼ることが多く、弊社が活躍できる市場だと期待しています。

――ありがとうございました

FUKUTAKA KOUMUTEN (THAILAND) CO., LTD.
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