〈タイ業界事情〉AI機能により材料投入処理をどこまで自動化できるのか BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.

難波 孝次 氏 Managing Director

AI機能により材料投入処理をどこまで自動化できるのか

 今回も前回同様AI機能とOCR機能等を組み合わせることにより、在庫管理をより正確におこなえる方法を検討していきたいと思います。それで前回までは入荷管理についてのお話をさせていただいたのですが、今回は表題にありますように材料投入処理についてのお話をさせていただければと考えておりまして、ただ一般的に考えられる材料投入のイメージとしては材料箱に貼られたQRコードラベルを読み込めばシステム的には自動的にその箱分の数量が生産ラインに移動されるので、特に深く考察する必要などないのではないかと思われるかも知れません。ところが実はQRコードによる在庫管理においてこの材料投入処理が一番頭を悩ませる問題でありまして、どういうことかといいますと箱に入った材料を常に使い果たすのであれば何の問題もないのですが、実際の業務においてはそんな都合の良いことは中々起こらないということになります。

 そもそもQRコードを活用して在庫管理をおこなう理由としましては、実在庫数のリアルタイムでの把握等色々とあるのですが、その中でも製品と材料との関連付けをきっちりとおこなうことにより何れの製品が何れの材料により生産されたのかをロット番号単位の紐付けをおこなうことを目的としているケースが多く、その為にはこの材料投入が要の処理となってきます。ただ一口に材料といいましても千差万別でありまして、液体もあれば粉体の場合もありまた巨大な板材や棒材といったケースもありますことから、これらの投入量及び消費量を正確に管理する為の手法も当然ながら千差万別にならざるを得ず、そこで今回はその方法を例を挙げて説明させていただければと考えております。

1、QRコードと重量計を組み合わせるケース

 これは材料が液体や粉体の場合に一般的によく使用されているケースで、その際の使用量を正確に測るとすればこれ以外にないとも言えるのですが、それでも作業形態によりいくつかのバリエーションが存在します。シンプルな方法としましては材料を生産ラインに移動させる際に移動させる容器に貼られたQRコードを読み込み材料の品番とロット番号等の基本情報を取得した後、その容器ごと重量計に載せて計測値をシステムに受け渡すことにより移動重量を確定する形ですが、よくあるケースとして大きな容器ごと生産ラインに移動して必要量のみを使用した後、またそのケースを材料倉庫に返却するといった処理がおこなわれることがあります。この場合は材料倉庫に返却する際に再度重量計に載せて生産ライン移動時の数値との差を使用量として、システムに認識させる形となります。またこの重量計を用いる方式では、材料が液体や粉体のみでなくかなり細かい部品を大量に使用する場合でも対応は可能となります。この方式のデメリットとしましては、都度重量計に載せる作業が必要になりますのでオペレーションが少々煩雑となることと、重量計機器の調達が別途必要になることになりますでしょうか。

1、QRコードと重量計を組み合わせるケース(1/2)

1、QRコードと重量計を組み合わせるケース(2/2)

 

2、QRコードとOCR機能とを組み合わせるケース

 これはどういったケースかと言いますと大箱の中に中箱が入っており更にその中に部品を格納した小箱が入ってるというまるでマトリョーシカのような状態に対する対応方法でありまして、材料の消費は小箱の単位でおこなわれるという形となります。この場合小箱一つ一つにQRコードが貼られていれば何の問題も無いのですが、それをおこなう労力とラベル紙の使用量を考えた場合現実的にはQRコードは大箱だけに貼られていて小箱には箱入り数のみがあらかじめ印刷されているケースが多いかと思います。そこで先ずは大箱のQRコードを読み込み品番・ロット番号等の情報を取得した後、小箱に印刷された箱入り数をカメラ撮影してOCR機能にて数値を在庫管理システムに取り込むという形となります。こちらもデメリットとしましては、小箱の数が多いとオペレーションがその分大変になるということでしょうか。

2、QRコードとOCR機能とを組み合わせるケース

 

3、AIによる画像処理をおこなうケース

 このケースを使用するにはかなり条件が限られるのですが、上手く活用できればかなりの優れものでありまして、要は使用する材料・部品の姿形をカメラで撮影してその画像をAIで解析することにより幾つ使ったのかを判断するという方式となります。この為材料が液体や粉体の場合は対応が難しく(容器に目盛りを付けて目盛りごと撮影するという力業を使えば出来なくも無いですが)、また材料の大きさや箱詰め方法に拠っても対応が可能かどうかが左右されまして現時点ですとまだ発展途上の方式ということで、それがそのままデメリットとなります。また事前に画像パターンを登録しておく等の準備作業が必要になりますので、使いこなすには時間がかかる機能であるとも言えるでしょう。ただ逆に考えるとこれから最も進歩が期待される方式であるとも言えまして、近い将来は材料を一度だけ撮影すれば品番やロット番号それから移動数量まで瞬時に判断できるようになることも可能になるのではないかと思います。

3、AIによる画像処理をおこなうケース

 

4、QRコードと音声認識とを組み合わせるケース

 このケースは前項とはうって変わってかなり実用的な方法でありまして、要は使用量は目視で確認せざるを得ない状況でかつ、現場でキーボードやタッチパネル等の入力が難しいケースに使用される方法で文字通り音声を発することによりシステムに値を認識させるという方式となります。数字の判断自体は目視になりまして自動認識という訳ではないので、どちらかといえば入力値の品質向上というよりもオペレーションを楽にするという目的で用いられる方式となります。具体的にはハンディ端末で材料箱のQRコードを読み込んだあと、ハンディ端末に向かって使用数量を発声すれば音声認識機能によりその数値が電子情報としてシステムに取り込まれるという形になりますので、オペレーターさんはいちいち端末を持ち換えてキーボード打ちをおこなう必要はなくなります。この方式のデメリットとしましては当然ながら機械音などが騒がしい現場では使用が難しいという点等はあるのですが、上手く使えば作業効率はかなり上げられますので、次回以降で説明させていただく作業実績入力に使われることも多いようです。

4、QRコードと音声認識とを組み合わせるケース

 

 ということで今回は在庫管理システムの中でも材料の生産ラインへの移動処理それから材料消費量の確定処理に焦点を当てて、AI機能がどのように活用出来るのかを説明させていただきましたが、次回も同じように社内の在庫品管理におけるAI機能の最新の活用法について説明させていただければと考えております。

BANGKOK TOKI SYSTEM CO., LTD.
住所:333 Lao Peng Nguan Tower 1, 17th Floor, Unit B1, SoiChaypuang,
Viphavadi-Rangsit Road, Chomphol, Chatuchak, Bangkok 10900
電話:0-2618-8310-1 ファクス:0-2618-8312 Eメール:toki@ksc.th.com
ウェブサイト:www.bkktoki.com

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