タイ最古の名門政党、空中分解の危機
- 2023/8/23
- タイ政治
【タイ】現存するタイ最古の政党で1990年代以降に3度連立政権を率いた名門、民主党が存亡の危機に立たされている。
5月の議会下院(定数500)総選挙では、長年にわたり強固な地盤だった南部やバンコクで支持を失い、獲得議席が25にとどまる大敗を喫し、開票直後にジュリン党首(67)が辞任した。以来、現在に至るまで後任の党首を選ぶことすらできない混乱が続く。
下院選で141議席を獲得して第2党となった旧野党陣営でタクシン元首相派のプアタイ党が旧与党陣営との連立交渉に乗り出した際には蚊帳の外に置かれ、旧与党陣営の主要政党では唯一、野党となった。
プアタイ党所属のセーター・タウィーシン氏(61)が出馬した今月22日の首相指名選挙では、党議で棄権が決まったにも関わらず、党所属の下院議員16人が賛成票を投じた。賛成票を投じた16議員は民主党を離れプアタイ連立政権に加わるという観測が浮上している。
民主党は1946年設立。かつては保守中道で清廉なタイ的民主主義の守り手というイメージだったが、民主派都市中間層と民主主義を軽視する王党派エリートを同時に支持層とする矛盾を覆い隠せなくなり、徐々に双方の支持を失っていった。下院選での獲得議席数は2007年が480議席中165議席(得票率39.6%)、2011年が500議席中159議席(同35.2%)、2019年が500議席中53議席(同11.1%)、2023年が500議席中25議席(同2.3%)。