【タイ・日本】ヨッチャナン・ウォンサワット副首相兼高等教育科学研究革新相は10月5日、京都大学の立川康人総長、大阪大学の熊ノ郷淳総長とそれぞれ会談し、タイと日本の先端研究分野における連携強化を進めた。半導体、AI、先端材料、医療AI、量子技術などの分野で共同研究や人材交流を進め、タイを新技術の実証拠点(Sandbox)として先端産業の育成を加速させる。
今回の訪問では、タイ国家研究機構(NRCT)のウィパーラット・ディーオーン事務局長と、京都大学の澤良木哲夫理事・副学長が協力に関する趣意書(LOI)に署名した。共同研究への資金支援や研究者・専門家の交流、学術データの共有を通じ、タイの高等教育機関と京都大学との研究ネットワーク強化を目指す。
ヨッチャナン副首相は会談後、「京都大学がタイをアジアの有力な研究拠点として評価している」と説明。同大学は新たな研究成果をタイで実証・試験する計画で、タイ政府と高等教育科学研究革新省は規制の試験運用制度(Regulatory Sandbox)を活用し、全面的に支援する方針を示した。「タイを拠点に技術を地域の実情に適合させた上で、東南アジア各国への商業展開につなげる」とした。
京都大学との協議では、先端半導体研究と、材料科学へのAI活用(AI for Materials Science)が主要議題となった。AIを活用することで、新材料の探索や開発に要する時間を短縮し、従来の実験中心の研究手法への依存を減らせるとしている。
また、タイからは国内独自の材料関連データを活用した共同研究を提案。連合学習(Federated Learning)を活用するほか、京都大学のAI材料研究拠点「AI4M-hub」とタイの「Siam Silica」プロジェクトのデータ連携を進め、国内半導体産業の育成を加速させる考え。
大阪大学との協力では、これまでマヒドン大学との間で熱帯病やワクチン研究を中心に構築してきた協力関係を、タイ国内の他大学にも拡大する方針を確認した。今後は医療AI、フィジカルAI、集積回路(IC)設計、バイオセンサー、量子コンピューティングなどの先端分野で連携を進める。さらに、共同研究支援基金(Matching Fund)の創設や、タイと日本の研究者を結び付けるオンラインマッチングシステムの構築を検討するほか、日本人学生がタイで研究活動を行いやすい研究テーマの設定も進める。
●タイと日本、次世代産業協力を強化 新シンクロトロン計画も推進
写真:タイ首相府


























