タイSME開発銀、2025年の融資実績が過去最高 中小企業支援と不良債権抑制を両立

【タイ】中小企業向け金融機関のタイ中小企業開発銀行(SME D Bank)は、2025年の業績が創設以来23年で最も良好だったと発表した。中小企業向けの融資実行額は790億4300万バーツ(4000億円相当)に達し、過去最高を更新した。不良債権(NPL)比率は7.9%まで低下し、設立以来の最低水準となった。

 同行によると、融資全体の70%は1件当たりが1500万バーツ以下の小規模事業者向けだった。資金供給を通じ、国内経済に3620億1000万バーツの資金循環効果を生み、62万360人の雇用維持につながったとしている。中小企業向け融資残高は995億6400万バーツとなり、2024年比で0.9%増となった。中小企業向け融資全体が13四半期連続で減少する中、同行は残高を伸ばした。

 また、北部および南部で発生した大規模洪水の被災事業者を対象に、元利金の返済猶予などの支援策を実施。「あなたが頑張るなら、私たちが支える」などの施策を通じて、3万2900社の中小企業を支援した。

 不良債権の管理も進み、NPL比率は7.9%と過去最低を記録。2015年の経営再建計画終了後に発生した不良債権に限っても比率は2.69%にとどまり、中小企業向け融資全体の平均を下回った。将来リスクに備えた引当金の積み増しも継続し、不良債権に対する引当率(NPLカバレッジ比率)は154%となり、財務の健全性が示された。

 資金供給に加え、経営力強化支援にも注力し、対面型の支援活動などを通じて2万人超の中小企業を支援した。会計基準に関する研修や資金調達準備の支援、インフルエンサーを活用した商品PR、オンライン販売プラットフォームへの出店支援、ビジネスマッチング、定期的な販売スペースの無償提供などを行った。同行が開発したデジタル支援プラットフォーム「DX by SME D Bank」を通じたオンライン支援も展開し、2024年のサービス開始以降の登録者数は4万6000人に達している。

 同行は、自然災害や米国の関税措置、外国製品の流入、タイ・カンボジア国境情勢などにより、中小企業を取り巻く環境は厳しさを増していると指摘。商業銀行が融資に慎重になる中、国の政策金融機関として低利融資と経営支援を組み合わせた「育成と資金供給の両立」を基本方針に、中小企業を支えてきたと強調した。

 2026年については、政府の経済政策を支える役割を担い、食品、健康、農産加工の3分野を重点産業として支援する方針を示している。技術、イノベーション、人工知能(AI)を活用し、中小企業の競争力を高め、国内外で通用する持続的な成長を後押ししていくとしている。

写真:タイ首相府

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