タイ・エイズ寺の寄付金横領事件 犯人から100億バーツ分を押収し寺院に返還

【タイ】エイズ患者支援で知られる中部ロッブリー県ロッブリー市のワット・プラバートナンプ寺院をめぐる寄付金横領事件で警察は11月13日、総額100億バーツ(480億円相当)に上る資産を犯人から押収し、寺院に返還する方針を明らかにした。捜査は今年4月、「寄付金が横領されている」との告発を受けて開始されていた。

 同寺院は国内外から多額の寄付を集めており、その一部が寺院の元住職アロンコット・プームック(65)とその側近で資金集めを担っていたセークサン・サップスップサクン(43)によって横領されていた。8月下旬に2人が逮捕され、元住職には寺院資金横領、公務員による職権乱用、資金洗浄の罪が、セークサンには横領幇助の罪がそれぞれ適用された。タイの高僧は、王室による伝統的な庇護制度に基づき国家公務員とみなされる。月額の俸給を受けているため、公務員犯罪として扱われる。

 警察は逮捕時、元住職から現金50万バーツと総額5200万バーツ分の小切手21枚を、セークサンからは土地と建物の権利書2通(7000万バーツ)、車両3台(800万バーツ)、現金200万バーツ、ブランドバッグ3点(40万バーツ)をそれぞれ押収した。その後、捜査を拡大し、寺院名義であるはずの土地7200ライ(1ライ=1600平米)、車両60台、そのほかの資産を押収。寄付者の本来の意志に従って寺院に返還する。

 捜査を主導した中央捜査局(CIB)は、「国民の信頼を回復し、仏教界の透明性を確保するための取り組み」と強調。さらに、寺院資産を隠匿している関係者に対して、資金洗浄や横領幇助の罪で厳正に取り締まると警告した。

 今回の押収資産には、土地権利証411通(2258ライ)、利用権証明書389件(4957ライ)、車両多数が含まれ、総額は100億バーツを超える。警察はこれらを寺院に返還するとともに、民事訴訟を通じてさらに2億バーツの資金回収を目指す。

写真:POLICE News Varieties

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