タイ米 豊作で価格下落、輸出は減速

【タイ】タイ農業協同組合省農業経済庁(OAE)は、2025/26年度の主作米の収穫が11月にピークを迎え、1737万5000トンに達するとの見通しを示した。年度通年の63.82%を占める豊作で、国内のコメ価格の下落が続いている。

 タイ精米業者協会によると、10月29日時点の中部アユッタヤー(アユタヤ)産の15%水分の籾米(白米)価格は1トン当たり6200~6600バーツと、9月末の6300~6700バーツから下落した。高級品種のジャスミン米(ホームマリ、東北部ウボン・ラーチャターニー産新米)は同1万1200~1万1600バーツで安定している。

 輸出は減速。商務省によれば、9月の輸出量は76万2582トンで前年同月比15.6%減に落ち込んだ。1~9月累計は579万9032トンで前年同期比23.1%減となった。2025年の年間目標を750万トンに据えているが、達成は不透明だという。

 国際市場では、ベトナム産5%砕き米が1トン当たり595ドル(1万9245バーツ相当)で取り引きされ、タイ産とほぼ同水準。世界のコメ価格は590~620ドル(1万9083~2万54バーツ相当)の範囲で安定しており、フィリピンやマレーシア市場で競争が激化している。

 最大の輸入国フィリピンは、9月から導入した輸入停止措置で在庫が減少し、2026年1月に30万トンの輸入を解禁する方針を発表した。輸入は1カ月間に限られ、2~4月は再び禁輸とする。主な調達先はタイとベトナムになる見通し。

 国連食糧農業機関(FAO)は、年末にかけてエルニーニョ現象が再発する兆候があると警告しており、2026年初頭には東南アジア地域を中心に供給減少の恐れがあると指摘。豊作による価格下落が続くタイの市場も、気象リスク次第で状況が一転する可能性がある。

 商務省の統計では、2024年の輸出量は995万トン(一部では1000万トン達成と報道)と過去6年で最高を記録したが、2025年はインドの輸出再開や周辺国の在庫増を背景に前年割れが確実視されている。

 

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